第3 相続税の申告・納付
1 申告・納付期限
相続税の申告手続は、相続または遺贈により取得した財産について納付すべき相続税額が算出される場合において、その相続の開始があったことを知った日の翌日から10ヶ月以内に相続税の申告書(課税価格、納付すべき相続税額その他所定の事項を記載)を被相続人の住所地を所轄する税務署長に提出しなければなりません(相続税法27条1項)。これに対して、相続税額を支払う必要がない場合には、申告書を提出する必要はありません。
当該申告書に記載した税額は、その申告期限までに金銭により一時納付することが必要です。金銭による一時納付が困難である場合には、申請に基づき延納によることができます。また、延納によっても金銭での納付が困難である場合には、相続または遺贈により取得した財産を物納することにより相続税の納付をすることができます。延納と物納については、第6部第4章第5章において詳しく説明しています。
2 準確定申告
被相続人が死亡した場合、故人は確定申告が出来ません。そこで、相続人が代わって被相続人の所得税の確定申告をしなければなりません。これを「準確定申告」といいます(所得税法124条1項、125条1項)。
通常、所得税の確定申告は、「1月1日~12月31日までの所得を翌年の2月16日~3月15日」までに行うこととなっています。しかし、準確定申告の場合は、「1月1日~死亡した日までの所得を相続の開始があったことを知った日の翌日から4ヶ月以内」に行うこととなっています。申告先は、被相続人の死亡当時の納税地の税務署です。