特別清算とは | 法律大好きのブログ(弁護士村田英幸)

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役に立つ裁判例の紹介、法律の本の書評です。弁護士経験32年。第二東京弁護士会所属21770

2 特別清算

1 概説

1)申立て

 特別清算は、解散した株式会社に清算の遂行に著しい支障を来すべき事情がある場合や債務超過の疑いがある場合に、適正な清算を行うため、裁判所の監督下で行われる清算手続です(会社法510条)。

 特別清算手続は、清算株式会社に清算の遂行に著しい支障を生ずべき事情がある場合、または債務超過の疑いがある場合に開始されます(会社法510条)。特別清算開始の申立ては、債権者、清算人、監査役または株主がすることができますが、清算株式会社に債務超過の疑いがあるときは、清算人は特別清算開始の申立てをしなければなりません(会社法511条)。

2)清算人

 特別清算の場合、取締役、定款で定める者、株主総会の決議によって選任された者が清算人となり(会社法4781項)、清算事務を行うことになります(会社法523条)。

 清算人は債権者、清算株式会社および株主に対して公平誠実に清算事務を行う義務を負うことになります(会社法523条)。そして、清算人は裁判所や監督委員による監督を受けることになります(会社法519条、同5271項等)。

3)個別執行の禁止等

 特別清算では債権者による個別執行の禁止(会社法5151項)や会社による債務弁済の制限(会社法537条)が規定されているため、債権者が財産の配分を受けるためには特別清算手続に参加することが必要となります。このような清算株式会社の債権者の債権を「協定債権」といいます。   

もっとも、一般の先取特権その他一般の優先権がある債権、特別清算の手続のために清算株式会社に対して生じた債権および特別清算の手続に関する清算株式会社に対する費用請求権は個別的な権利行使が認められています(会社法5153項括弧書)。

4)第二会社方式

 特別清算は、第二会社方式を使って新会社で再建する場合に旧会社の清算手段としても使われます。ここで、第二会社方式とは、収益性のある事業部門を別法人(第二会社)に譲渡・分割して事業の継続を図るとともに、負債・赤字部門を残した旧会社を清算する再生手法です。後継者を代表者とする新会社を設立し、この新会社に旧会社の事業を事業譲渡ないし会社分割により承継させ、旧会社は新会社から対価を受け取って金融機関に返済して、清算する手法です。新会社はMBOEBOを使って設立することもあります。

5)通常清算が適した場合

前述の第二会社方式において、旧会社が債務超過でない場合や債権者全員の協力が得られる等清算手続の遂行に支障がない場合には、特別清算ではなく、通常の清算手続で会社の清算が行われます。

2 特別清算のメリット

1) 破産に比べて迅速、会社の信用力が保持できる

 特別清算は、破産に比べて、手続が厳格ではなく、簡易、迅速に会社を清算できるというメリットがあります。

 また、特別清算も破産と同じ清算型の倒産処理手続でありながら、特別清算には比較的「倒産」のイメージが薄いというメリットがあります。

2) 清算人

 破産の場合は会社の管理処分権限は裁判所の選任する破産管財人に移ってしまうのに対して、特別清算の場合には、会社が選任した清算人が財産の管理処分を行うことができるというメリットもあります。

3) 担保権の実行手続等の中止命令

 破産においては、特定財産上の担保権が別除権として扱われ、原則として手続に拘束されない権利行使が認められているのに対して、特別清算の場合、裁判所は、特別清算開始の命令があった場合において、債権者の一般の利益に適合し、かつ、担保権実行手続の申立人に不当な損害を及ぼすおそれがないものと認めるときは、清算人等の申立てによりまたは職権で、相当の期間を定めて、担保権の実行の手続等の中止を命じることができます(会社法516条)。

3 特別清算のデメリット

1) 解散決議が必要

 特別清算手続を実施する前提として株式会社を解散させる必要があるところ、株主総会の特別決議、すなわち、総議決権の過半数の出席および出席した株主の議決権の三分の二以上の賛成が必要になります。

 したがって、経営者は株主総会の特別決議を得る見込みがなければ、特別清算に進むことはできません。

2) 多数の債権者の同意が必要

 特別清算手続を実施するためには、債権者に対する弁済計画である協定案に対し、出席議決権者の過半数かつ議決権の総額の三分の二以上の同意が必要になります(会社法567条)。そして、協定案につき、かかる債権者の同意が得られなければ、破産手続に移行することとなります(会社法57421号)。

3) 否認の制度、債権確定の制度なし

 特別清算においては、破産の場合に認められる否認権の制度(破産法160条以下)がないため、清算手続内で詐害行為や偏頗行為が行われた場合、その効力を否定できないデメリットがあります。

 また、債権確定の制度(破産法124条以下参照)もないので、債権額に争いがある場合は訴訟によることが必要になり、債権を迅速に確定することができないというデメリットもあります。

4 保証人

 特別清算は株式会社しか利用できません(会社法510条)。そのため、保証人個人については、任意整理や民事再生、破産等の手続をとることが通常です。