第4 遺産分割
1 遺産共有の暫定性
相続開始後の遺産の共有は、遺産分割が行われるまでの暫定的なものです。すなわち、相続の開始によって共同所有となった相続財産を個別具体的に各相続人に帰属させる手続が民法上、用意されています。これを遺産分割といいます。
被相続人は、相続開始の時から5年を超えない期間を定めて、遺言で遺産の分割を禁止することができます(民法908条)が、この分割を禁止する定めがない限り、相続人は、いつでも自由に遺産分割を請求することができます(民法907条1項)。その際、分割割合は、法定相続分を基本としますが、特別受益や寄与分が各人の相続分を算定する際の修正要素として機能することになります(特別受益や寄与分の調整を施して算出される遺産分割の割合を具体的相続分と呼びます)。
なお、被相続人が遺言で遺産分割の方法を指定することができます(民法908条)が、その際、その指定が各人の法定相続分に対応しないことがあります。この場合、相続分の指定を伴う遺産分割方法の指定と解釈されます(東京高判昭和45・3・30高裁民集23巻2号135頁、東京高判昭和60・8・27家裁月報38巻5号59頁、札幌高決昭和61・3・17家裁月報38巻8号67頁、中川=泉『相続法第4版』253頁)。