平成25年改正会社法の要綱その1
親子会社に関する規律
要綱のポイント
多重代表訴訟
最終完全親会社の一定の株主は、一定の重要な子会社の役員等について、直接、代表訴訟を提起できるようになる。
一定の株主は、議決権総数の1%以上、または発行済株式総数の1以上に限られる。
一定の重要な子会社は、完全子会社であり、かつ、最終完全親会社及びその完全子法人が保有する当該子会社の帳簿価格(簿価。時価ではない)が当該最終完全親会社の「総」資産額(「純」資産額ではない)の20%を超える子会社に限られる。
解説
現在の会社法では、最終完全親会社の株主が直接、子会社の役員等に代表訴訟を提起できず、最終完全親会社の株主総会での議決権行使等で間接的に株主の意思を反映させるしか方法がないという制度でした。
そこで、子会社の役員等の責任については、子会社の株主が最終完全親会社であることから、最終完全親会社の役員等と子会社の役員等とがなれ合いになり、子会社の役員等をチェックする機能が働いてないという問題がありました。
そのため、会社法改正要綱は、一定以上の株主に限って(少数株主権)、一定以上の重要な子会社に限って、多重代表訴訟を創設したものです。
株主や子会社を一定の範囲に限定したのは、濫訴のおそれがあること、グループ会社経営の効率性などを阻害しないようにする目的です。
なお、多重株主代表訴訟ではなく、「多重代表訴訟」という用語が用いられているのは、最終完全親会社の株主は、完全子会社の株主ではないからです。