まもなく、ロシアによるウクライナ侵攻が始まって5か月になる。
いまだに、停戦の合意は実現せず、ずっと市街地の破壊・市民への攻撃が続いている。
私たちは、一日も早い平和の実現を望んでいるが、残念ながら簡単にはいかないようだ。

ウクライナへの侵攻は、それまで中立を保ち、NATOに加盟していなかったスウェーデンとフィンランドが新たに加盟することになって、
NATO拡大をもたらしたほか、アメリカやヨーロッパの各国は、直接的な介入こそしないものの、武器の提供など軍事的支援を行っている。
そこには、ドローンなどの最新型兵器も含まれているらしい。
この動きに武器の「在庫一斉セールが実現した」という指摘もある。
兵器製造会社~軍産複合体は、この戦争を喜んでいるのかもしれないのだ。


そんなことを考えていたら、子どものころ夢中になって読んだ漫画の一説がよみがえった。
それは、
「現在は、原水爆やミサイルをはじめとする、核兵器の開発によって、もし、それを使用すれば、たちまち地球全土が滅亡することがわかり、
うかつには、戦争を起こせなくなっています。しかしそれでは、あなた方、兵器製造会社の社長さんが、おこまりのこととおもいます。
そこで、どうしても戦争をやってもらう必要がある。さいわい、人間には、永久になくならない闘争本能があるので、これを利用して戦争をおこす・・・。
ここにわたしの『未来戦計画』が生まれたのです。」


これは、手塚治虫とともに、漫画界の巨匠と言われた故石ノ森章太郎(この作品当時は石森章太郎)の名作「サイボーグ009」の、
第1巻に出てくるサイボーグを作り出し、「未来戦」を計画した「ブラックゴースト」のセリフだ。

この作品が発表されたのは、1968年頃。ベトナム戦争も起きていた時代だ。
その後も中東やアフリカなど、世界のあちこちで戦争や紛争がおき、20世紀は「戦争の時代」だった。


「戦争は起きるものではない、起こすものなのです」とは、私がまだ20代だったころ、初めて沖縄を訪れたとき、現地の組合の委員長から聞かされた言葉だ。
今回のロシアによるウクライナ侵攻は、まさしくその通りのことが起きていたのだと思い知らされている。
そして、「戦争を止めることを止めている力」がどこかにあることもまた事実なのだろう。
それでもあきらめることなく、平和の実現を求める声をあげ続けなくてはならない。


-K.H-