自らの労働条件は自らの手で!教え子を再び戦場に送るな!日教組・東京教組と共に闘おう!
NEWS 江戸川区教組
2022/6/29 No.2204 江戸川区教職員組合(江戸川区中央3-7-11-102江戸川区平和運動センター)
6月18日、講師に小寺隆幸氏(前丸木美術館理事長)を迎えて、東部ブロック6月教研を開催しました。
“ロシア軍のウクライナ侵攻をどう考えるか”についてです。
江東区教組、墨田区教組、葛飾区教組だけでなく、東京教組青年部も共催に加わってもらい、タワーホール船堀の会場には、
区内、区外の現役教員、OB・OG、24名が集まりました。
午後1時半~4時半までの3時間、講師の話を聞き、各々子どもたちと実践したことや思うことなどを出し合い、
あっという間に時間は過ぎ、話は交流会へと続きました。
以下に報告します。
◆小寺さんから教研の講師を受けるにあたって、「ロシア軍のウクライナ侵攻をどう考えますか?」
「子どもたちは、休み時間や授業の中で、ウクライナのことについてどんなことを言っていますか?」
について事前にアンケートを取ってもらい、そのことも踏まえて話をしたいという依頼があり、アンケートを取りました。
いくつか紹介します。
〇「何かをしたい気持ちは持っている。~中略~自分で行動する手段、方法を考える余裕がなく悩んでいる」
〇「『ウクライナの子はどうなってしまうの?』と、2年生の子に聞かれた。学級で対話を重ね、
学級通信に書いたら管理職からストップがかかった。~中略~
我々が子どもの声に耳を傾けることが日本の歴史を繰り返さないために必要なことと感じるが、それは今の世の中で求められていないのか」
〇子どもたちの声:ユニセフや国連がウクライナを支援しているけれど、本当は戦争をやめさせる為の支えが必要だと思う。
何も生まれないのに、ただただ闘う。それがわかりません。
◆小寺さんは、「答えを誰かに聞くことではなく、問いを自分の中に持ち続け、考えることが重要」ということで、
考える手助けとなる話をたくさんしてくださいました。
組合員のみなさんには、小寺さんから頂いた資料「ロシア軍のウクライナ侵攻をどう考えるか~子どもたちの不安や問いを聴きとり、共に考えるために~」
を同封しています。
詳しくはそちらをお読みください。
小寺さんの話は、「ウクライナ市民の声」「ウクライナの歴史」「ロシア大統領プーチンの言動と考え」「NATOの存在」「軍事援助の問題」
「自分の問題、日本の問題に重ねて考える想像力」「ロシアの市民は」「戦争にまつわる絵本の紹介」、日テレ映像;「壊されゆく子どもたち」etc、
そして、「今回の戦争における4つの教訓について」でした。4つの教訓とは、
外交イニシアティブ(ND)政策提言22年6月14日 オンライン
【ウクライナ侵攻から学ぶ‐力の抑制を超え、戦争回避の外交を‐】 柳澤協二、屋良朝博、半田滋、佐道明広、猿田佐世 より引用
(1)戦争で目的を達成することはできない
この戦争の最大の教訓は、いかなる大国といえども戦争で目的を達成することはできないという厳粛な事実。
他国の人々の心を支配することはできない。戦争が大国を偉大にする事は決してない。
(2)戦争は、始まる前に止めなければならない
ひとたび戦争になれば、報復が報復を呼ぶ連鎖が始まり、暴力が拡大する。暴力の連鎖は、政治の妥協を困難にする。
戦争によって失われる人命の重さを考えるなら、戦争回避の外交こそ政治の最大の使命である。
(3)抑止と世界戦争リスク
戦争を防ぐために軍事力を前面に押し出す抑止は、世界戦争のリスクを背負っている。それでも抑止に頼るか。
戦争回避のための別の方法を見出すか。
(4)外交なくして戦争は防げない
戦争を正当化する理由にはならないが、NATO東方拡大へのロシアの不満、安全保障上の恐怖やプーチンの大国と
しての自負があったにもかかわらず、米国を含むNATA側は、それに対処してこなかったことも事実。
暴発を防ぐ適切な協議を継続していれば、戦争へ向かう意思を封じ込めることができた可能性もある。
信頼醸成(敵対する国家・勢力間で誤解や不信を減少させること)の外交なしに戦争を防ぐことはできない。
◆日テレの映像で心に刺さる場面がありました。
ウクライナから逃れた9歳の少年が、戦火の記憶に苦しめられ、戦争の夢にうなされる毎日を過ごす中で、それでも、ロシアとウクライナが仲直りしている絵を描き、
「ウクライナはきっと大丈夫」とつぶやいている場面です。
心を押しつぶされそうになりながらも考え続けている9歳の少年の姿でした。
小寺さんは、ウクライナの子どもたちに寄り添うことが大事と話されました。
本当にそう思いました。
また、小寺さんは、「自分の問題、日本の問題に重ねて考える想像力を」という話もされました。
その視点で今の日本を見てみます。
◆6月23日(木)は、1945年の沖縄戦等で戦闘に巻き込まれた住民や兵士約20万人の犠牲者を悼む「慰霊の日」でした。
玉城デニー知事は、「平和宣言」でウクライナ侵攻に触れて、「沖縄における住民を巻き込んだ地上戦の記憶を呼び起こすものであり、
筆舌に尽くしがたい衝撃を受けている。
今こそ平和と命の尊さを大切にする『沖縄のこころ(チムグクル)』を世界に発信していくことが重要だ」と呼び掛けています。
毎日新聞には、福岡県在住の元高校教師、伊波さんの「ウクライナ侵攻に心痛める87歳」の記事が載っていました。
「ロシアによる侵攻で街を追われるウクライナの人々に心を痛めている。77年前、自らも戦禍を逃れて沖縄を離れたからだ。
帰りたかった故郷。でも戦闘に荒れ果てた島に慣れ親しんだ景色はなく、異郷の地で戦後を生きてきた。
『置き去りにされたようなものだ』『故郷が奪われて残るのは破壊した相手への憎しみだけ。早くこの戦争を終わらせてほしい』」という内容。
ウクライナ侵攻と沖縄戦で傷ついた子どもの思いは同じだと改めて思いました。
また、ウィーンでは、6月21日から3日間の日程で、核兵器禁止条約の第1回締約国会議が開かれましたが、日本は、オブザーバーとしても不参加でした。
若者たちがオンラインで2万人もの署名を集め、「オブザーバー参加を日本にして欲しい」と訴えても政府は聞く耳をもちません。
岸田総理は、「同盟国アメリカとの信頼関係のもとに現実的な核軍縮から始めていく」と説明しました。
アメリカと対等な関係も築けずに信頼関係などあるはずがありません。
政府が何もしない中、広島と長崎の両市長は出席し、「核兵器廃絶しかない」と訴えています。
また、被爆者も声をあげていました。
政府は、「核廃絶」を口にしないだけでなく、中国に対する抑止戦略を高めようとしています。
与党がしきりに「核共有」を言います。ロシア軍のウクライナ侵攻の問題が、日本のこれまでやってきたこと、そして、現在の問題と重なって見えてきました。
◆ところで、子どもたちも、テレビで連日連夜、ロシア軍のウクライナ侵攻のニュースが流れており、毎日目にしています。
見たり聞いたりしたことについて、自分なりに思うことも考えることも、不安になったり怒りを感じたりすることもあるでしょう。
文科省は、「新しい時代の初等中等教育」として、「変化の激しい社会を担う子どもたちに必要な力は、基礎・基本を確実に身に付け、いかに社会が変化しようと、
自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ、他人とともに協調し、
他人を思いやる心や感動する心などの豊かな人間性、たくましく生きるための健康や体力などの『生きる力』であるとの理念に立脚している。云々」をあげています。
学校で子どもたちが、ロシア軍のウクライナ侵攻について話し合うことは、
「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、行動し、よりよく問題を解決する資質や能力、自らを律しつつ、他人とともに協調し、
他人を思いやる心や感動する心など」を養うことにつながる大切な授業です。
そうした教育を、また掲載した学級通信をストップさせることは、子どもたちの学びを止めることになります。
子どもたちの心に、言葉に、蓋をすることになります。
◆参加された方からも、「毎日ウクライナのニュースが入り、悲惨な状況を見ながらも、私に出来ることがなく暗い気持ちだけが残っていましたが、今回の学習会で、
ウクライナの子どもたちの気持ちに寄り添う、そして自分の前にいる子どもたちとウクライナや戦争について話し合うことが必要だと感じました」といった感想が寄せられました。
◆小寺さんの話のまとめに、「答えを誰かに聞くことではなく、問いを自分の中に持ち続け、考えることが重要」
「私たちがやれること;戦争反対の声を上げ続ける・人道的支援をする・全ての難民への支援をする・ロシア市民や文化を敵視しない
・軍備増強ではかえって国際緊張を増すことを訴える・核抑止ではなく核兵器禁止に向けて被爆国日本が先頭に立つよう政府に働きかける
・国連の諸機関や赤十字、NGOなどに救援活動や戦争犯罪摘発を支持する・憲法九条を守る…」が、ありました。自分にできることを各々の場でやっていきましょう。
そして、共に考えていきましょう。
困ったらいつでも江戸川区教組へ連絡下さい。
💛小寺さんより、「子ども募金(カレレンダー代)を5992円頂きました。基金に送ります。有難うございました」のメールが届きました。
【今後の予定】
★分会代表者会議 7月1日(金)18時~ ワーホール船堀 403号室
★江戸川区教育委員会の会議 7月12日(火)13時~ 江戸川区教委 4F
7月26日(火)13時~ 江戸川区教委 4F
★夏の学習会 7月23日(土)10時~12時 ・13時~16時 タワーホール船堀 402号室
7月24日(日)10時~12時 ・13時~16時 タワーホール船堀 306号室
※夏の学習会に参加(話題提案・提案無し)される方は、執行委員まで連絡をお願いします。