NNNドキュメントは素晴らしい番組だ。
東京圏内では読売新聞の息がかかった日テレで放映されているが、素晴らしい深夜番組である。
1970年から放映されているNNN系列の長寿番組で、私は白黒テレビ時代からもう50年以上も視聴し続けている。
西暦の下二桁を取って年を表す方法も、私はここで確実にすることができたのだ。
つまり、現在は「NNNドキュメント’22」となっている。
因みに、1964年の東京オリンピック以降、私の頭の中は西暦中心になった。
あの年に私は聖火リレーの一伴走者を務め、特に感激したわけでもないが、世の中が1964❗️64‼️と騒がしかったことだけは覚えている。
もっとも、少し遡れば1960年、つまり60年安保闘争もあったのだが、残念ながら未だ闘争主体にはなれず「アンポ ハンタイ❗️」の掛け声だけが脳裏に残っているだけだ。

去る6月12日に放映されたのは、「壊されゆく子どもたち ーウクライナ戦地からの報告ー」というタイトルだった。
この番組には珍しく全て現地へ入って取材した番組であった。
国内のドキュメントでは長年に渡って取材を続けて来たものを編集する番組作りが多いが、今回はそんなに長期に及ぶものではない。



しかし、子どもたちが去った後もウクライナ現地に残る父親や、ウクライナ現地で避難生活をしている子どもたちを取材するのと並行して、ウクライナ国境に近いポーランドの都市プシェミシル、そして更に避難先のドイツの都市ケルンに取材をしていた。
ここで取り上げられた父親は、前線基地へ武器弾薬を届ける危険な役割に従事していた。
子どもたちは母親に連れられてキーウを離れてポーランドへ。
さらに、ポーランドからドイツへと渡って行くのであるが、言葉の通じない異国での生活のストレスの他に、心に残る爆撃時のトラウマが未だに払拭できていない。
父親は元気に振る舞ってはいるが、常に死を覚悟している…。
また、国内に留まる子どもたちも地下シェルターに避難した時の砲撃の凄まじさに怯え、地下には避難することを拒んでただ勇気を鼓舞するウクライナの歌を歌う…。
全く出口のない悲惨な状況の中で留まっているだけだ。


さらに、弱い立場の子どもたちをターゲットにした人身売買の横行に対して、少しでも状況を変えようと活動する大人たちもいる。
ウクライナ現地に留まるのも、そこから避難するのも容易ではないし、容易に希望は見えない。
ただ、はっきりしているのは、この戦争がジワジワと子どもたちの心身を破壊し続けている事実だけだ。
番組では子どもを中心としたウクライナの人々に焦点を当てているが、戦場に兵士として送られたロシアの青年たちはその家族にしても苦悩は深いのが容易に想像できる。
戦争は一刻も早く止めるべきだ。
こんなごく当たり前なことが通じなくなっている現実こそ戦争の本質に他ならない。
人は何のために生まれてきたのか、そして何のために生きているのか⁉️
世の為政者たちは心して自己に問わなければならない。



この番組の最後に子どもが絵を描いて率直な心情を吐露した。
そして言う。
「ウクライナが大大大好きだから国旗を描いているの」
「ロシアとウクライナが仲直りしているところを描きました」
「ウクライナはきっと大丈夫」
「プーチンが賢くなって戦争が終わる日がきます」
こんな子どもたちの思いを、どれだけの重みを持ってかの為政者たちはとらえることができるだろうか…。
明日の世界を生きるのは、この子どもたちなんだ‼️
<すばる>