2020年のオリンピック開催地がまもなく決定される。

これを前に、自らの政権基盤が崩れるかも知れない一大事と考える安倍首相は語った。
「(東電福島第一原発の汚染水漏れは)政府が前面に出て完全に解決する。(夏季五輪が開催される)7年後の2020年には全く問題ないと説明したい。」

この発言は4日の記者会見でなされたものだが、G20のモスクワからIOC総会のブエノスアイレスへ向かい、既に各国のIOC委員に東京開催の支持を求めて精力的に働きかけているらしい。

一方、先に現地入りしている招致委員会の竹田理事長は4日の海外記者会見で「総理からも最終プレゼンテーションで説明する。福島は東京から250キロ離れており、皆さんが想像する危険性は東京にない」と、声を上ずらせながら答えたという。

海外メディアは、当然ながらフクシマ問題とは切り離すことなくこの招致活動を報じている。
招致委員会にしてみればこの問題で弁明するなんて本意ではなく、フクシマを全くもって忌まわしく感じているのだろう。
だから、「フェアではない」等と言い訳がましく叫んでいるのだ。

猪瀬知事も安倍首相も何度もプレゼンのリハーサルを行い、これで完璧だなんて威勢のよい所を示しているが、内心はハラハラドキドキであろう。
そもそも彼らはフクシマをなかったことにする予定であったが、ここにきて自ずと無視できる状況ではなくなってきた。

そこで、「安全」だから「安心」して・・・と言わざるをえなくなった。
竹田理事長の言葉の意味することはいったいどういうことなのか?
裏返せば、「福島は危険だが、東京は250kmも離れてるから安心して下さい」ということなのだ。

参議院選挙が終わるまでは汚染水漏れのことは公にせず、自民が大勝すると、情報は明らかにし対策も民主党政権とは違って早め的確に行います等とうそぶく自民党政権。
汚染水漏れはついに地下水脈にまで達し、もはや即解決など不可能な状態に陥っているのは何故だ!?
原発事故に関して政府が危機感を抱いていなかった表れではないのか!

そもそも自民党独裁政権が長期にわたって進めてきた原発政策に欠陥があったから生じている現象なのだ。
このことを忘れようとしている彼らが今、オリンピック誘致という活動をする中で嫌がおうにも突きつけられた課題として無視できなくなったわけである。

100歩譲って、(こんなことはないが)東京都内は放射線量も低く衣食住に何ら危険な状況ではないとしよう。
では、同じ国内の福島県を中心とした今現在線量も高く不安な生活(仕事・家族・学校etc)を余儀なくされている地域の人々にはどんな言葉をかけるんですか?
「安全な東京をつくる」ために多額の税金を費やし、オリンピック関連予算で企業を儲けさせ、安倍内閣・猪瀬都政に信任を与え、オリンピックに反対していた人々(原発に反対している人々の多数)を疎外し、そして、フクシマにはあまり触れないで原発を再稼働していく・・・・・。
そんな姿が目に浮かぶ。

よしんば原発を推進しようと考えた場合、国民に「安心・安全」の担保を示していかなければ理解は得られないはず。
そのためには、何をおいても現に厳しい状況にあるフクシマを解決する行動が優先するはずだ。
ところが今、オリンピックが最優先されている。

今までそして今も、原発をめぐる政府の一連の動きは嘘と隠蔽の連続である。
例えは良くないが「臭いものには蓋」の論理でずっとやってきたのである。
それが、この国の原発政策であったのだが、もうそのやり方は破綻したのだ。
未だにそのことに気づかないのは、原発推進当事者とオリンピック誘致に必死になる輩である。

声を大にして言おう。
「原発はいらない!」
「汚染水漏れ対策に全ての知恵と力を結集してあたれ!」
「東京にオリンピックはいらない!」

あと数時間後に2020年のオリンピック開催地が決まる。
政官財&皇そして都庁の職員を動員しての結果がまもなく出る。

結果がどうあれ、私たちの基本的スタンスは変わらない。
オリンピックによってフクシマは解決しない。
しかし、オリンピックが来なければ、フクシマ解決に向け多くの人々が動くであろう。



<S・S>