フランスでも都市郊外に大型商業施設が増えてきたようだ。
そう、日本にも進出したカルフール(Carrefour)をはじめとした大型スーパーマーケットである。

今回、フランス中部の都市や農村部を車で周り、特に農村には一週間滞在して自炊したので買い出しをする度に感じたことがある。

とにかく、宿の近くには商店どころか民家もほとんどないため、その日に観光に出かけた場所の近くで買い物をすることになる。
ところが、食料品の売っている店が容易に見つからないのである。

そこで役に立つのがGPS カーナビである。
現在地周辺のスーパーマーケットを検索する。
個人経営のような小さい店は検索できないが、そもそも実際に見当たらない。

驚くことに、検索する度にスーパーまでの距離が遠いことだ。
5~6kmではなく必ず10数kmは離れているのだ。
車でなかったら、とても行けない距離である。
年老いて車が運転できなかったりしたらどうしたらよいのか?

たまたま出先から近い所にスーパーがなかったのかもしれないが、農村部に行くと本当に買い物に苦労することを実感した。

それらのスーパーは大部分が比較的新しいものであった。
ということは、それまでは農村部にも商店があったのだろうか?

日本でも私の実家周辺では、かつてあった小売店がかなりなくなっている。
かわりに郊外型スーパーマーケットができている。
フランスでも同様なのかと想像する。

それにしても、農業国フランスは日本の比ではない。
北海道あたりでは多少似ているかもしれないが、広大な農地が広がり、10数km毎に大型スーパーマーケットが点在しているイメージだ。

ある日曜日の朝、大変なことに気づいた。
その日の食材がほとんど残っていなかったのだ。
フランスでは基本的に日曜・祝日は商店が休業する。
パリ等の大都会で観光客を対象に営業している店は開いている所もあるが、レストランもカフェもシャッターを閉じている。

宿のオーナーに相談したところ、10km程行った教会の前に小さな店があるから、そこへ行けば何らかの食料が買えるとのことだった。
たしかに店はあったが、本当に小さな店で昔の日本の田舎にあった万事屋に似た感じで、少しずつではあるが色々な物がそろっていた。
客は他に誰もいなかったが、帳場に座ってる店主のオヤジは愛想がよく、おまけに買った商品をポリ袋に入れてくれた。
一瞬ここはフランスなのか疑ってしまうほどの都会との違いぶりだ。

それにしても、こんな観光客も来ないような小さな村で日曜営業をしているのは何故なんだろうか?
大型スーパーができる以前は、このような小さな店が村々にいくつかはあったに違いない。

蛇足ではあるが、当然ながらスーパーに買い物に来る人々はほぼ全員大量に買い物をしている。
私たちのように小さいカート一台で事足りる程度の買い物をして、現金払いをする者は見渡す限り他にはいなかった。
それと、農村部ではスーパーといえどもお昼休みはしっかり取って、午後は3時から営業開始だ。

「買い物は文化なんだ」と思わずにはいられなかった。


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