当選して「バンザイ!」をする人や「有難うございました!」と何度もお礼をいう人がいますが、それって、ひとりよがりと紙一重ですよね。
だって、自分以外の多くの主権者から託されて議員になったのですから、その人たちに代わって「みなさん、やりましたよ! これからみなさんの意を受けて頑張りますからね・・・」という意味での表現だったらまあいいかなって感じですが、これが、たいていは違うんですね。
念願の議員になれた喜び、これで収入は安泰だという気持ち・・・。
本気で主権者から託された等と思ってる人物は、そう多くはないでしょう。
主権者(有権者)の方も、「○○先生」と呼んで敬ったり、議員が来るとなると特別なはからいをしたり・・・、自分より格段上の人と認識していることが多いように思います。
これによって、双方とも本来の民主主義の意味をすっかり忘れて、選ぶ者と選ばれる者との間に壁を作ってしまいます。
いや、忘れるというより本当は民主主義の何たるかを知らないで立候補したり投票したりしているのかもしれません。
今回の参議院選挙で選ばれた人は、今後6年間は何をしなくても議員歳費をもらって悠々と過ごすことができます。
もちろん、主権者の熱い願いを委託されたまともな議員さんは、選挙戦以上に大変な議員活動をすることになるでしょうが・・・・。
今回の選挙は、みなさんおっしゃるようにマスメディアが大きな影響を与えて、私たちの投票する邪魔をしたように思います。
主権者が自分で考えて、その考えや思いに最も近い候補者に託すのが投票なのに、新聞やテレビで連日のように「今回の争点はねじれ解消・・・」みたいなことばかり伝えてきました。
そりゃあ民主党は失敗しましたよ、でもね、だからといって自民党がいいはずがないじゃありませんか。
あの人たちほど自分の利益や目先のことばかり考えてる人はいませんよ。
戦後のあれほど長い間、自民党は政権を独占してきたため、民主主義の何たるかを忘れてしまったのですよ。
それにつられて、主権者の方も自分が政治の一番の主体者であることを気付かされずここまで来てしまったのです。
それを初めて変えたのが民主党政権樹立だったんです。
これに驚き、自民党だけでなく官僚や財界等の古株連中が危機感を感じて、メディアから警察から果ては外国にまで助けを求めて徹底的に民主党をいじめました。
執拗な攻撃は様々な手を使ってなされ、ついには内部の結束力も緩み崩壊していってしまいました。
ですから、今回の選挙ではこの混沌とした局面をあらためて認識して、主権者として自覚し直すことが何より必要だったのです。
「ねじれ解消」などといって再び自民党独裁体制に戻すと、ようやく目覚めつつあった主権者の意識がまた眠りに入ってしまうのです。
今回、投票率のことが色々言われました。
投票率が低かったから自民・公明・共産党が伸びた云々は、ある意味でうなずけます。
しかし、少なくともそれらに投票したした人たちは「選挙に行こう!」に同調しているし、棄権した人たちよりは主権者の意識が高いかどうかは分かりませんが、民主主義の最低限の行動はしたのです。
有権者の半数近くの人は、主権者としての権利というか義務を行使しなかったのです。
投票率云々は結果であって、民主主義がまだ普及していない現実を問題にしなければならないと思います。
自分の代わりに議会で論議する者を選ぶ、それが選挙であるし、主権者はそこにおいて政治の主人公なのです。
この民主主義の原点とも言うべきことを、選挙が終わった今あらためて考えています。
自分の意志を代弁してくれる者を送り込めなかった私たちは、議会外での活動をしなければ、これまた民主主義を遂行していることにはならないのです。
<S.S>