一年生がプール学習をすると言うので見物に行った。

運悪く低温等の理由で、今日がまだ3回目ということだった。
この猛暑なのに、皮肉なものだ。
それも、前回は「着衣泳」だったというから実質上2回目である。

まともに泳いだこともにない子どもたちに着衣泳も何だかな・・・っていう気もするが、とにかく生まれてから初めて入る学校のプールが3回目が今日だった。

入る前は楽しそうにはしゃいでいた子どもたちだが、プールで見た彼らは教室とは打って変わってどの顔も緊張のおもむき。
それはそうだ、入学前にスイミングクラブにでも行ってない限り初めての本格的プールである。
幼稚園や保育園では水遊び程度であろうから、就学前の家庭内の過ごし方次第では生まれて初めての体験となる子どもだっているはずだ。

そういう子どもたちが存在していることを知ってか知らずか、指導する教員たちの非常識さには呆れた。

メインのマイクを持つのは6年目の男性教員、プールの中では初任者の男性が二人と2年目の女性とベテラン女性が一人。
そして、年配の男性が補助で付くといった万全たる指導体制である。
ちなみに一二年生合わせても100名に満たない低学年グループである。

プールの中ではベテラン男性が声を上げて最も目立っているが、若手の3人は何をして良いものやらただウロウロするばかり。
顔を水に付けられずビビっている子たちにマンツーマンで付き添うような感じでもある。

プールサイドを見ると、「見学」の子たちが10人あまり集まっているが、飽きてしまってケンカやイタズラが始まっている。
日差しを避ける庇はあるものの十分ではない。

「どうして見学なの?」

「カード忘れちゃった。」
「水着忘れた!」
「まだ風邪が治ってないから・・・」
「お熱あるから・・・」

こんな彼らにバインダーとメモ用紙を渡して、「良かった子の名前を書きなさい」と指示したらしい。
何もすることないと間が持たないだろうと考えたのか、馬鹿げた策である。
そんなことで2時間も持つはずがない。
中には本当に具合の良くない者もいるのに、何故この暑いプールサイドに置いておくのか?
鉛筆で悪ふざけをしている子もいた。

「どうしたの? 飽きた?」

「飽きたし、暑い!」
「水に入りたい!」

そこで、彼らをホースの近くまで連れて行き足に水をかけてやった。
もちろん、きゃっきゃとして喜んだ。
「もう忘れるなよ!」
「うん、わかった!」

プールサイドのこんな様子は指導教員の誰も気づかない。

さて、本丸のプールでは「検定」とやらを始めている。
各学校で任意に決めた技術水準で「級」を設定し、定期的に検定試験を行うのである。

今学期最後のプール指導なので、夏休みの指導の目安を作らなければならないから・・・ということだった。

「3秒間顔を水に付けられる」あたりから始まって、「10メートルのけのびができる」位までいくつもに分けて検定していた。
その間、見学者だけではなく検定を受けてない子どもたちは全て静かにプールサイドに座って待たなければならない。
飽きてくる子や寒くなってバスタオルに包まる子も出てきた。
それでも検定は続く。

検定をするのも悪いことではないかも知れない。
しかし、それは指導を一定期間続けたあとに行われなければ意味をなさない。
スイミングで習った子の検定しても、それは学校での指導結果ではない。
冷静に考えれば誰でも気づくことだが、学校という所は10年一日のごとく繰り返しているのである。

可哀想なのは、生まれて数度目のプール体験をしている子どもたちである。
こんな子どもたちに、黄色や赤のリボンを付けて、あるいは何も付けられなくてどうするつもりなのか!

挙句の果ては、「自由時間」の「流れるプール」だ。
足がやっと底に付く程度の子にとって、それは恐怖以外のなにものでもない。

幸い事故もなく終了したが、結局なんだかんだとプールサイドからサポートの声と手を出さざるをえなかった。



<やったるで>