
人が植えた花や野菜以外に生えてくる植物を、大抵の人は「雑草」と呼ぶ。
すると、植物に詳しい人はしたり顔で「雑草」というものは「無い」、植物には一つ一つ名前が必ずついていると云う・・・。
確かにその通りである。
私も「雑草」と云わない一人だが、ちゃんとした植物名など言いたくないほど、あちこちから出てきて抜くのが大変なこともある。
これらの「雑草」たちは、とにかく強くたくましくへこたれない。
抜かれても抜かれても、必ず何処からか出てくる。
そのうちに抜くのを諦めて、少しくらいだから「まあいいか」なんて放っておくと、翌年はその雑草たちに占領されてしまう。
昨年川内村を訪ねたが、耕作放棄地は見事なほど多くの種類の「雑草」と呼ばれる植物たちで覆われていた。
それほど彼らはたくましく、生命力が抜群なのである。
人間が食料として改良して育てた穀物や野菜などは、同じ時期に種を蒔いて人の手で大事に育てられている。
過保護そのものである。
雑草だらけの土地に、野菜や穀物の種を撒いたら、雑草たちに競り勝って、どの程度の実を付けるか試してみたい気もする。
それは兎も角、いま庭から無くしたい植物はドクダミである。
いつの間にか生えてきて、あちこちから芽を出している。
このドクダミは、土の中にどんどんと地下茎(根)を広げていく。
抜いても地下茎が1cmでも残っていれば、やがて地中でその4~5倍以上の長さに生長し、再び地上に芽を出してくる。
再生能力に長けている驚異的な生命力である。
それが、花壇に植えてあるグラジオラスやバーブなどの間から、芽を出してくるから余り可愛くないと思う。
だから、ドクダミを見つけたら抜かないで、細いシャベルで掘り起こし、周りの花たちを傷つけないように、しかも地下茎を地中に残さないようにしなければならない。
あちこちに自生してくるので、一本一本掘り起こすにも手間がかかり根比べだがどこかで諦めてしまう。
本当に厄介なドクダミと思う。
そんなドクダミだが、薬草であり十薬・重薬とも呼ばれている。
特有の匂いを嫌う人もいるが、好んで自生させる人もいる。
白い花を咲かせるし乾燥してお茶として飲める。
何しろ十薬なのだから、薬効は保証されている。
薬屋で見ても薬草茶はいろいろあるが、ドクダミ茶は値段の高い方である。
以前、便秘になり進められて飲んでみたが、効果は抜群だった。
すぐに便秘が改善された。
臭みも匂いも無いし飲みやすい。
他の効用として、高血圧の改善・利尿作用があり、膀胱炎の改善・肌荒れの改善・血行を良くして、むくみ肩こりの改善・糖尿病予防など中高年の世代に良いことばかりの効能が云われている。
お風呂に入れると、美肌が期待できるとか・・・。
抜いて根絶やしにするなんてとんでもない。
とても役に立つ薬草と云わねばならないが・・・。
まだ十薬のお世話になるほど、今は身体も疲れていない。
だがやがて、ドクダミを抜く体力も気力も失せる時が来るだろう。
その頃はドクダミが花壇を占領し、お茶となって疲れた身体を癒してくれるに違いない。
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