学担の時は十分やり切れなかった一つにノート指導がある。
時々集めはするものの、きめ細かな指導ができなかった。

非常勤教員になってから最初に力を入れたのはノート指導である。
現役時代の不十分さを反省するかのように、けっこう頻繁にノートを回収して私の感想のようなものを書き込む。
そして最後に、A.B.C等の評価を書き込むのであるが、私の主観に沿ったものながらも子どもたちはこの評価を楽しみにしている。

回を重ねるにつれてAに「◯」や「'」が付く細かい評価になってくる。
「どうすれば本当のAになれるんですか?」等と子どもに問われながら、ノートの中身の話になるのはとても意義あることだ。

社会科や理科を主に担当しているのもノート指導をやりやすくしている。
学年に応じて多少の違いはあるが、共通しているのは「自分らしい良いノートをつくること」に重点をおいていることだ。

社会科を少し具体的に紹介しよう。
まず、日付を書いてから単元名等(本時を象徴する文言を書く場合もあるが)を書く。
次にその日の課題(一時間の学習問題を書く場合もある)を分かりやすく書く。
次に気づいたことや予想を書く場合もあるが、様々な資料を使った調べ活動、課題についての話し合い活動等々、その時の学習活動によって書く内容や書き方も変わってくる。

他人の発言やグループでの結論と自分の考えを区別させたり関連させたりもする。
それらを表示するために記号を用いたり色分けしたりする。
また、大切なことにはアンダーラインを引いたりマーカーペンで塗らせたりする。

基本は板書に沿って書くのであるが、ただ写すだけのノートは評価が低い。
いかに自分らしさを出すか、それ以外の書き込みや感想欄を付け加えることで自ずとレベルが上昇する。
友達の発言や教師の話で気になったら付け足して書くのである。

これを一年間継続すると、ノートは冊数が増えてくると同時に子どもたちの書くことへの関心も高まる。
私の求めるモデルノートのような素晴らしいものに必ず出会えるから、こちらも楽しい。
ノートを見ると、一年間どんな学習をしてきたのか一目瞭然である。
実際にある優秀な「ノート作品」を借りて、一年間分をコピーさせてもらったこともある。

これを、翌年の4年生の理解授業や6年生の社会科授業に活用させてもらったこともあるが、なかなかの利用価値がある。
理科の実験装置の図解や実験時のデータは教科書なんかよりずっと信頼性が高い。
社会科では当時の子どもたちの考えた学習問題が記載されていて、とても参考になる。

自分の指導の軌跡でもあるが、それ以上に、その時の子どもとの関係性の中で子どもたちが創り出した成果とも言える。
だから、私は常日頃から「ノートの中身は君たちの作品だよ」と話している。

私はノート指導の専門家でも研究者でもないのであまり難しいことは言えないが、このノート指導に力を入れていると、子どもたちがよく考えるようになっている気がする。
また、その教科があまり好きではなくても、書くことを楽しんでいるような子もいるようだ。

こんなことに時間をかけられるのも、非常勤教員の良さなのかもしれない。



〈やったるで〉