初めて非常勤教員として着任した日、「教育計画」なる年間の業務がまとめられた書類が私の手元にはなかった。
どうせつまらぬ内容で構成されたものだろうから、そんなものは見たくもないのだが、これに沿って仕事が進められというからには必要だ。
副校長に話したところ、教務が気づかず申し訳なかったと言いながら冊子を渡してくれた。
この程度だったらまあいっかとなるが、更衣室に自分用のロッカーが用意されてないことで怒り爆発。
「非常勤が差別されるということは聞いたことがあるが、これがその現実なんですね。」
「私は組合で職場の諸問題に取り組んで改善を求めてきましたが、今、またこの現実に直面するとは思いませんでした」と副校長に話した。
彼は差別するような意図は全くなかったが、結果的に不愉快な気持ちにさせたことを重ねて詫びた。
このように、非常勤とは忘れられがちな定数外の存在。
制度的には日勤の時間講師なのだ。
全ては配置定数に定めらた、常勤の現役教員が中心になっているのだ。
そんなことは百も承知でこの職を選んだのだが、実際に差別されて初めてその存在位置を実感した。
おそらく、今までにもこんな被差別感を抱いた方々も多くいたんだろうな…。
学校でさえこうなんだから、民間の非常勤や非正規労働者等はもっとひどい差別に晒されているのかもしれない。
こんなことは放置されてはならない。
早速闘いは開始されるのであったが、今までとは違って職場ではたった一人の闘いだ。
私は、それ以後、事ある度に関係管理職や事務職と個別に折衝することとなった。
幸か不幸か時間は十分あるので、自ずとネチネチした長いやりとりになることが多かった。
権威に弱い彼らの体質を逆手にとる必要もあった。
組合は有効に活用すべきだ。
しかし、この後も面と向かって差別されたりはしなくても、制度的に運用される学校内においては結果的に差別となって表れるものが少なからずあった。
職員室の椅子やパソコンである。
椅子を新たに入れ替える際にも常勤が優先された。
ここでも「定数外」は後回しというわけだ。
おそらく運用でどのようにも配置できるはずだが、頭の硬い事務職員は連日出勤する常勤を優先する。
例え勤務時間中は非常勤の方が職員室の椅子に座る時間が長くても、勤務時間外に長時間残業する常勤のために新しい椅子は配置されたのであった。
パソコンも同様である。
これも「教育計画」と同様になくてもよいのだが、業務上必要なら常勤と同様同時に配置してほしかった。
このような被差別感は屈辱感ともなって私の心を苛むのであった。
〈やったるで〉