また一つ自民党が教育部門で具体的施策を出してきた。
先の民主党政権もお世辞にも立派とは言えない教育施策があったが、このダメさ加減を更に上塗りするような危険な案である。
もう既に教育の政治的中立などというタテマエも投げ捨てられ、時の権力を握った者たちが勝手に思いつきで教育制度や内容に手をつけている。
今や教育こそ時の政府の性格を表す材料と化してしまった。
先の衆議院選挙の時に示した彼らの教育政策に、「教員の政治的中立を徹底するなど、適正な教育内容を確保し、教職員組合の適正化を図ります」という一文があるが、これは教員に対して言ってるのであって、自らは中立どころか限りなく右に寄った活動をし、それを教員にも強制するということが明確になった。
14日の毎日新聞が伝えるところによると、「教員にもインターン制度を導入し、新卒者には准免許を与え3~5年学校現場で講師と同様の待遇で働かせ、学校長が勤務態度や課題への対処能力を見極めて、基準を満たしたら教育委員会から本免許を与えられる」という段取りらしい。
「本免許が取得できなくても、准免許のまま勤務可能」とも言っている。
さらに、「本免許取得後、指導力不足が判明した場合は、教委が責任を負い研修などを実施する」という。
自民党は今後、地方教育行政法などを改正して具体化する腹づもりらしい。
これは、民主党政権が中央教育審議会に「指導力不足を解消するため、教員は大学院の修士レベルを修了する」と答申させたが、これに対して自民党が「大学院で勉強すれば指導力が向上するものではない」という論を対置していたことに始まる。
それはそうだが、何故今、インターン制度なのか?
医学界では60年代末期に青年医師たちの強固な闘いによって廃止されたしろものである。
今回の提案は無給ではないにせよ、本免許が与えられずに業務に携わるという不安定な制度である。
おまけに、一定の価値観で評価されて人生が決められていくという極めて非人道的なものである。
第一、校長や首長に任命された教委などのお目に叶うなんて、かなり無理をしなくてはならない。
黒を白と言い、いいえもはいに言い換える作業を繰り返すことで初めて本免許交付にありつけるのだ。
教育でこんなことが許されるてよいものだろうか。
今、学校現場は既に大方の若い教員は飼い慣らされ、民主主義も戦後教育の何たるかも知らない無知な校長の言うがままに仕事をしているのが現状である。
自民党は、これを待っていたのだ。
まともな校長や問題点を指摘する組合教員が存在していては困るのだ。
だから、抵抗する教員を見せしめ処分にしてきたのだ。
「いじめ」とか「体罰」とか「不登校」とか「特別支援」とか、この時代の中で悩み苦しみ浮遊する子どもたちの課題をも「教育改革」「教育再生」の道具に使い、教員を徹底管理する路線にはめ込めようとする姿は実に醜いものである。
いや、子どもたちを含め私たち人間がこれから生きていく道を恣意的に定めて、それに乗れないものは生きていけなくなるというまさに暗黒時代の到来である。
どんな理由をつけようと、インターン制度なんて許してはならない。
今後、私たちは具体的にシュミレーションしてこの制度の危険さを広く訴えていきたい。
アベノミクスに目を奪われている国民に、安倍内閣の本性はこのあたりにあることを気づいてほしい。
支持率が高いことでうかれた阿倍が、参議院選挙まで待てなくて出してしまった鎧の一部だが、憲法改悪・世の中改悪へつながる非常に危険なものだということを認識したい。
<すばる>