教育再生実行会議なるものが、教育委員会そのもののあり方に対して提言を出した。

「どうせたいした話し合いもせず、新しいことをまっしぐらに進めていく」ような組織ではないから、安倍さんにとってその存在自体が目の上のたんこぶ。
できることならそんなものは葬り去りたいと前々から考えていたのは言うまでもない。

そしてついに今回の提言だ。
支持率の高いうちに、よく知らない、分からない国民の反発を買わない「教育委員会制度のスリム化」をやろうというのだ。

「各都道府県知事、それぞれの市区町村長が任命した教育長の責任の下、いや「命令の下」ことごとくトップダウンで教育を管理していこう。」ということなのだ。

合議制なるまどろっかしいことをしていては手早く、上手くは行かない。

「早く手を打たないと、教育に手を付けないと世界の趨勢に乗り遅れたままとなってしまう。それではだめではないか。だから・・・」というのは単なる建前なのだ。
本音を言えば、これまでの「自分の思い通りに教育を管理することができない。」ことに対して苛立ちが隠せないだけなのである。

ここには68年前までの教育の怖さ、恐ろしさに対する自戒の念などこれっぽちも感じられない。
いや、すでにもう何もないのだ。
過去の戦争に対する反省など・・・

大日本帝国憲法下で、天皇主権の世の中でどのような教育が行われたか、そして、それによりどのようなことが起こり、その結果がどうなったのか!

学校教育の中で天皇を神に仕立てあげ、天皇の赤子として戦争で命を捧げることを最上の生き方と教えたのではなかったのか!!

この戦争によりアジアのどれだけの人々を傷つけ、苦しめ、そして、命を奪ったか!!
国内の非戦闘員である子ども、女性、お年寄りの命がこの戦争によってどれだけ失われたか!

どれだけの物が焼かれ,破壊され、失われたことか!!

敗戦後、この戦争の反省の下日本国憲法が作られ、現在に至っている。
戦前の教育のやり方(すべてがトップダウンで行われる教育の恐怖、危険性)の全否定から現在があるのである。だから、また元に戻ることは絶対にあってはならない。
絶対に!!

「教育委員会をスリム化」という聞こえのいいまやかしに騙されてはならない。
為政者の思い通りに「教育を牛耳る」ためのものなのだから。
これまでの長年にわたって教育に金をかけず、教員の真面目さ、律義さ、子どもに対する責任感だけに頼ってきた教育行政のひずみが積み重なり、現在に至っているのではないか!!

この状況を作ってきたのはいったい誰なのか?!

教育における様々な問題を先送りし、場当たり的な手当てしかしてこなかった自民党の教育政策の誤りを総括することなく、いや、それどころかこの状況を改善するようなふりをしつつ、これをてこにして戦前の危険なシステムに密かに戻していこうとする彼らの狡猾さ!!
許し難い!!

教育委員会のスリム化はすなわち戦前への回帰に他ならない!!



<危険な「はじめの一歩」はいらない>