自民党の小池百合子広報本部長が党の国防部会で、「沖縄メディアの言ってることが、本当に県民をすべて代表していると思わない」と述べたそうです。

それはそうですよ。
どんなメディアだって「全て」を代表することなんてできませんからね。
ただ、何が問題なのかは視点を定めてきちんと外部に伝えるのがメディアの役目ではあるはずです。

だから、メディアの記事を批判するのは自由ですが、メディア自体を敵にして「(沖縄メディアと)戦って今回も当選した」と、自党の沖縄選出議員を励ますあたりからおかしくなってきます。
事実この発言をきっかけに、ネット上には口汚く沖縄メディアを誹謗中傷する書き込みが続きました。
挙げ句の果てには、知事や市長さらに沖縄県の人々全般を罵倒するまでに至っています。
批判ではなく、事実を捏造したり歪曲したり、知性と品性を欠いたシロモノですから無視すればよいのですが、それこそ公のメディアを使って発信しているのですから看過することはできません。
これは在特会の集会や「嫌韓デモ」等でも見られますが、はたして民主主義はこれでも自由だと言い切って良いのでしょうか?

沖縄だけではなく東京のメディアも権力から弾圧される危機にあります。

昨年の夏から中日新聞グループに国税局が大規模な税務調査に入っているということです。
既に名古屋本社では飲食費の使途について取りざたされたりしており、東京新聞では国税当局が資料分析に使うためと称して一部屋を要求するという徹底した調査ぶりだそうです。
特に調べるのは、取材相手との打ち合わせや取材懇談に使った飲食費あたりからだそうですが、これでは取材源が秘匿できず、取材の自由が危機に晒される可能性があります。

何故ここまで執拗に東京新聞を調査するのか?
通常の税務調査を超えた意図があると考えても不思議ではありません。

それは、他の大手新聞が政府の政策に関して大方は肯定的にとらえた記事を流しているのに対し、東京新聞はそうではなく批判的な目を持って書いているからだと思います。

野田内閣の消費増税に批判的見解を載せたことによる財務省=国税局の嫌がらせと見て間違いないでしょう。

先日もNHKのアナウンサーがメイン番組を降ろされるという不可解な事がありましたが、彼は一貫して原発に対して反対する見解を示していました。
「国営」放送局には国策を批判するアナウンサーは必要ないということでしょう。

脱原発のデモや集会が正確に民衆に伝わっていかないのは大手メディアが意図的に無視したり過小評価している点にありますが、それでも国民の大多数が「原発いらない」の意思を表しました。
これに危機感を持った国家権力とその応援部隊の大手メディアが、自民党が復権した今、あらゆる手を使って良心的メディアを叩き潰そうとしています。

あれほどの大事故があっても忘れることが早いこの国の人々ですから、これにマスメディアの意図的な誘導があればさらに一層危険な状況に突き進まないともかぎりません。
残念ながらまだまだこの国には民主主義が根付いていないからです。
その意味でも今回の「沖縄メディア批判事件」や東京新聞に対する国税局の嫌がらせを問題視していかなければなりません。


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