各地で卒業式が行われている。
区内の学校現場からの情報である。
「昨年の卒業式で、教職員がマスクをして参加したことを区民が問題にして当局へ訴えた。今年はそのようなことがないように、国歌・区歌は口を開けて歌って」と、校長が教員に話したそうだ。
また、ある学校では、職員に公式には伝えなかったが、茶飲み話で校長がそのようなマスクの話があったことを話していたということである。
昨年もそんな話が耳に入ってきたが、事実関係は今現在不明だ。
ただ、行政当局が何らかの通知を校長に出していることはたしかだ。
事の本質は、「国歌」を教職員に口を開けて歌うことを強制することである。
「マスクなどしてごまかすな。来賓や保護者に分かるようにしっかり歌え」ということなのだろう。
学校によって校長の対応が異なるのは、これをどう受け止めどう対処するかの人間としての判断力、あるいは民主主義に対する熟知度の違いによるものだろう。
どんな区民がどんな意図を持って訴えたかは定かでないが、それをもって学校現場になにがしかの指示・通知を出す当局とはいったい何なんだ!
昨年、ある学校で周年行事をした際、区長が「国歌・区歌を声高らかに歌ったみなさんは立派です」と祝辞で話したそうだが、全てはこれに象徴されている。
悪法も法なりとか、公務員は法に従って…等とも言われるが、憲法に従えばたいていの悪法は駆逐できるものだ。
区内には、主体性の欠如した役人が出した通知等をそのまま流す愚かな校長ばかりではないのがせめてもの救いである。
そして、例え校長が何かを言っても、口を真一文字に結んで対処した職員が少なからずいたというのも救いではある。
それにしても、花粉症や風邪に罹患した者が多いこの時季に、「マスクはするな」という人権を無視した事由が江戸川区にあったことは銘記しておこう。
マスクを禁じられているので、君が代を歌ってる途中に「ハクション!」とあちらこちらから聞こえてくるのも不思議ではない。
何だったら、来年は「集団ハクション事件」とでも報道されるような状況になるのも面白い。
馬鹿な指示にはそれ相応のやり方で返してやればいいのだ。
大勢が集まる体育館での粉塵は、ただでさえ吸いたくないのに、大量の花粉が飛散するのをみすみす吸い込まざるを得ないなんて、君が代の強制と同じように人権を無視した非人道的な措置であることはきっちり確認させようではないか。
私は、このマスク騒動を新たなファシズムの第一歩だと考えている。
草の根保守や排外主義が、私たちの日常にひたひたと侵入しようとしているのを感じる。
地域や学校において、だからこそ主体性を持って共生する原理を確立しなければならない。
〈西〉