三月も半ばになり20度以上になる日もあったというのに、北海道は猛烈な風雪にさらされ積雪もかなり多いようです。

先日の猛吹雪の中、車の中で親子三人が亡くなったり、愛娘の命を守るために犠牲になった父親の死は、誰しも涙ぐんでしまう痛ましい事故でした。
自然の猛威の前に、人の無力さをつくづくと感じました。

私が住んでいた農村は春夏秋冬の四季がはっきりとしていて、季節感かありました。

長いあいだ雪に閉ざされていた冬が終わり、春になるとき初めて土を見たときの喜びや感動は、何事にも代えられないものでした。
溶けた雪の中に尖ったスイセンの芽を見つけたときや、川のそばに生えている黄色く伸びた柔らかな草を見つけたときは、うきうきわくわくしたものでした。
木々の黄みどり色の無数の点々が、わずかの日数で瞬く間に緑色に変わると、いっそう心が沸き立ちました。

5月半ばになると山桜が茶色っぽい葉を枝につけたあと、桜色の花を咲かせます。
ここから6月にかけて、地上全体が一気に黄みどり色に包まれます。

田植えも6月上旬に終わるので、色合いが見事です。
スモモの真っ白な花もより引き立ちます。
オタマジャクシから孵ったカエルが、夕方から鳴き始め一晩中鳴き続ける大合唱になります。
6月は梅雨もなく緑が映えて、大変過ごしやすい季節です。

7月はけっこう暑くなり、寝苦しい時もあります。
稲は株を増やし続けて、田は青々とした美しさです。

8月になるとキリギリスが鋭い声で鳴き、セミも羽を打ち振るわせて、力いっぱい鳴き続けます。

夏の夜の星空はとても美しく、空いっぱいに星で覆い尽くされています。
天の川が空を二つに横切り、一つ一つの星が大きく煌めいて見えます。
色も大きさも肉眼で、はっきりと見えるのです。
星の輝きや色が分かるのは、電気も無かったので辺りが真っ暗で、星の光しかなかったのです。

教員になって初めてプラネタリウムを見ましたが、さほど感動はしませんでした。
子供の時に田舎で見た星空に代わる美しさは、どこにもないと脳裏に焼き付いていたので・・・。
 
今の時代はどこでも明るく、闇夜というものに出会うことがなく、本物の夜空や星空の美しさや神秘な闇夜を知る人はそう多くはいません。

今の子ども達や若者に、闇夜や美しい星空を体験させる方法は無いのか、いつも思っています。
そこから受ける感動は、一生忘れられないものとなるはずです。
 


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