3月10日と3月11日、いずれも永久に忘れられない日だ。 言うまでもなく、東京大空襲と東電福島第一原発事故の日である。 68年前の昨日から今日にかけて、東京の下町は火の海と化した。
この地域に軍需工場があるという口実で、米軍は下町一帯の民家を無差別に襲撃した。
これは、ナチスによるホロコーストに匹敵するものと言えるが、誰がどのように責任をとったのか定かでない。
記録によると、米軍は日本家屋の襲撃ため、ハワイの木造家屋をそれに見たてて何度も燃焼実験をしたそうだ。
それだけ用意周到な東京大空襲だったのである。
したがって、およそ10万人の人々は虐殺されたと言っても過言ではない。

どんなに怖かったでしょうか、どんなに苦しかったでしょうか、どんなに悲しかったでしょうか…… 。

この空襲で、下町とは言えない江戸川の地にも空襲は行われた。
折からの空っ風が北西から吹き荒れ、それまで超低空爆撃をしていたB29は、次第に高度を上げざるをえなくなり、東側へ焼夷弾が落とされたにちがいない。
もっとも、季節風を利用した延焼は最初から作戦に入っていたらしい。

今日3月10日は、江戸川区の戦災犠牲者を追悼し、二度と戦争を起こしてはならないと誓う行事を行った。
主催者挨拶、江戸川区長挨拶のあと、江戸川区音楽祭合唱団による合唱組曲「ちいちゃんのかげおくり」が上演された。
その後、中学生・高校生による世代を結ぶ平和活動の取り組みが発表された。
特に江戸川女子高放送部による、地域の戦争体験者を取材した映像作品は、高校生ならではの鋭い感覚で迫ってくるものがあった。

ホールでのイベントの後は、「世代を結ぶ平和の像」の前で献花が行われた。

温暖な今日であったが、開式と同時に空は西風によって黄砂が運ばれたのか視界が悪化してきた。
献花の頃には再び天候が変わり、風は北の方に変わってきた。
気温もみるみる下がり、恒例の水団(すいとん)がアツアツでいっそう美味しく感じられた。

これからも、この江戸川で地域に根ざした平和運動が、老いも若きも一緒になって創られていくことを期待したい。


明日3月11日は、2年前に起きた大地震によって東京電力福島第一原発がメルトダウンして多くの放射性物質を周囲に撒き散らした日だ。

私たちは、当然ながらこの事故は起こるものとし20年以上前から「原発反対」の運動を進めていたが、実際に起きている事態に怒りと焦燥にかられている。
既に甲状腺癌にかかった子どもたちが出始めているにも関わらず、東電や政府は慌てる風情もなくのうのうと再稼働のスケジュールなどを考えている。

除染は事故現地に近い程ほとんどその意味をなさず、帰郷計画は絵に描いた餅にすぎない。
付近に残る者も他地域に避難した人々も、一気に起こった事故による被害者だが、彼らを根本的に救済する手立ては、今現在において何もされてないに等しい。

被曝した疑いのある人たちは、全員無条件で無償の検査と治療を受けることができなければならない。
そして、少なくとも福島県内の放射線量の高い地域の子どもを始めとする住民は、「安全」な場所に無償で移転させなければならない。
チェルノブイリの事故プロセスをもっと学んでもらいたい。

9日の明治公園での集会では、福島から地方に避難された方が「忘れられてしまうのではないか」と不安を語られていたが、何でも「なかったこと」にすることに慣れている日本人は、この原発事故でさえ忘れ去られる可能性がある。

当事者の東電は刑事犯罪として立件されるべきだが、未だまな板にさえ乗せられないし、「原発村」代表の政府にあっては、その基を作り推進してきた自民党が政権に返り咲き、恥も外聞もなく再稼働を口にする。
状況は、あの民主党政権時に「国民」の声を聞いて作った原発ゼロ計画がなかったかのように変化している。
既に忘れ去られる部分が出始めているのである。

呼びかけ人の一人である澤地さんは、「いつもの顔」ではない人々にこういう集会に出て来てもらわなくては状況は変わらないと話された。
たしかにそうだなと思う。
湯浅誠さんがかつて言われていたが、「外側の人間といかにつながっていくか」が課題であることは原発を止める上でも全く同様である。
同類の人間が集まっているだけでは変革できない。

集会終了後にデモが始まった。
例によって警察に誘導された管理されたデモだが、それでも私たちのシュプレヒコールに対して「 バスの運行を邪魔するな!」とやり返す若者がいたり、「何か年寄りばっかり、若い人いないよね」なんて言いながら歩道を歩く若いカップルがいた。
集会会場に、生まれたばかりと思われる赤ちゃんを抱っこして参加していた夫婦を見て感動したが、このあまりにも対照的な若者の存在をどう考えたらよいのだろうか。
若い人たちこそ真剣に立ち向かわなければならないのに……。

そういえば、原宿駅前ではイベントのチケットを求めて大勢の若者がたむろしていた。
「⚪⚪のコンサートチケットを2枚ゆずって下さい!」なんて書いた紙を掲げる若者もたくさん見かけた。
今、この国の若者は(も)はっきり二分されているようだ。

原発はいらない! 戦争もいらない!
今まで以上に状況は悪化している。
だから、今まで以上に闘いをしたたかに、そして根強くやり続けようではないか。


3・9「つながろうフクシマ!さよなら原発大行動」3・10「東京大空襲68周年 江戸川区犠牲者追悼式」


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