最近の体罰は部活の中で行われているものが多いらしい。
気合を入れるために頬をたたく。
ミスを分からせるためにたたく。
次、失敗しないようにするためにと。

私の受けた体罰。
授業中、殴り合いのけんかをしてしまった時。
その授業の担当教員に頬を両手で頬を挟み撃ちにするように叩かれる。
この時は、「ああ、自分がいけないんだ。」と思った。
何と言っても美術の時間だったのだから。
周りは絵の具で色つけをしていて・・・机がばたんと倒れ、椅子が転がり・・・あの時は周りの人に迷惑かけちゃったな・・・

担任にも何度か叩かれる。
忘れ物、危険な遊び(校舎の2階から1階へ降りる。
掃除の時間、1階の屋根に乗る。)など。
やることがハチャメチャだから、担任は私を嫌っていたのだろう。
ことあるごとに注意を受け、頬を叩かれる。

私自身、自分の通うこの中学校の体質に違和感を覚え、いつもイライラ状態だった。
何と言っても、私が小学校で学んだことがまるで通用しないのだから・・・

何にそんなに怒っていたのか。
それは、周りの生徒の差別的行動である。
恰好を見て差別的な言葉を発する人。言われなき差別を平気でする人たち。前の小学校の頃から続いていると思われる差別をそのままし続ける人たち。自分の周りにこんな人ばかり。
こいつら小学校で何を学んできたのか?!
差別なんてあってはならない。
平和に生きるということは、差別なく生きることなのだから。
こいつらこんなことも知らないまま中学生になったのかよ。

周りに対する強い憤りを持っての日々の暮らし。
こんなはずではない、と思いつつも、みんなに言えない自分に対しての憤り。
この状況に楔を打つことのできない自分への怒り・・・
この中学の教師たちも生徒の差別的行動を知っている。
でも、それを見ても見ぬふり。
イライラは募る。

そう、実は私、この中学校に越境入学していた。
地元の中学ではなく、隣りの校区へ。だから、同じ小学校で学んだ人はほとんどいなかった。
少なくとも1年の時の自分のクラスにはだれもいない。
そして、クラスには区内はもとより他県から通う人もいる。
5クラス中1クラス分、45人くらいの越境。
いろいろな地域からの寄せ集め。
勉強、生活指導熱心、でも、差別は見ぬふり。
だんだん心がすさむ。
勉強だけできれば、テストの点さえ取れればそれでいいんだな!!という姿勢に傾いていく自分。
テストの点数のとれるツッパリにあこがれる。
というか、それを目標にする。

冬のある朝、校門で週番の教師に捕まる。
生活指導部の教員だ。
いつもは門番がいるかどうかを確認している。
いたらさっとポケットから手を出す。なぜか運悪く、いるのが見えなかった。
呼び止められる。
帽子のかぶり方に対する注意。
斜にかぶり、つぶして校章の見えない状態。朝一で左頬に衝撃が走る。
朝から殴るなよな。
別に誰かに迷惑なんてかけてねえじゃん。
ふざけんなよ、と思っただけ。
自分を直そうなんてこれっぽっちも思わなかった。

後はいつまでもいつまでも「朝から校門の所で週番の教師にたたかれた」ことだけが記憶として残る。
今でも週番という言葉が嫌いだ。
つまらないことをうだうだ注意し、説教する私の天敵。
6週間に一回回ってくるのだが・・・回ってくるたびに未だに思い出すあの悪夢の日々。

管理されるのが大っきらいな私ではあったが、1年で突っ張るのは卒業し、勉学に励む?そして3年。
またもや悪夢。
何と1年時の教師がまたもや担任。
できる限り彼と出会わないようにしたのは言うまでもない。
常に一番離れた所にいたのを覚えている。
進学時の相談も一瞬。
「○○を受けます。」「そうか。」

私の悪夢はこうして覚める。



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