小学校低学年に生活科という理科・社会を無くして出来た教科がある。

虫を捕まえたり、植物や生き物を育てる単元も少なくない。
生活科の賛否はともかく、小学校の教師は、理科の不得手な方が多い。

必要に迫られてカイコやメダカの飼育やアゲハの幼虫を育てたり、アサガオ・ミニトマト・オクラ・ゴーヤなど鉢植えや畑で育て、観察記録をこども達に書かせたりしているが、ちゃんと履行できる教師はそう多くはない。

完全変態する昆虫の成長を見て、観察することはとても楽しいと思う。
カイコやアゲハにエサをあげ、幼虫の世話をして触ったりしていると虫が好きなこども達になる。

ところが虫を毛嫌いして、世話を全くしないでこども任せにしている教師もいない訳でもない。   
カイコがエサ不足で成長できず、生かさず死なずのまま弱りきっていたり、干からびたまま放りっぱなしにされていた事も目にしたことがある。
「可哀想に!」飼育放棄は育児放棄と同じと思うことも度々あった。
生命の誕生や命の大切さを間近に知る大切な教科と思うのだが・・・。

植物の場合畑で育てると、水やりはさほど心配する必要はないが、鉢植えの場合はこまめに水やりが必要になる。
特にアサガオは根の張り具合を良くして、立派な花が咲くように水はけの良い土を使うので、午前中に水遣りしても夕方には萎れていることもよくある。
低学年の教師はこども達が登校して下校するまで、片時も離れることが出来ない。
アサガオの水遣りばかりに、意識を向けられない忙しさもある。

だから植物を観察しながら育てる教材には、ホトホト苦労しているのが今の教師と思う。
教師が生物教材にきちんと取り組むには、多忙な現実から解放されることである。
全ての授業は午前中に終わり、午後からはフリーに使える誰からも拘束されない自主研修時間の保証が必要である。

昨今、教師の質は低下している。
それは、体験や経験を重ねて自己を研鑽していくという機会が少ないばかりか、ほとんど保証されていないからだ。
特に生活科や理科教科の指導には、教師自らの体験が何より大切と感じる。

私見だが机上の講義のさして役に立たない免許更新制度なら、地域の中で農業・水産業・林業などの実地体験に替える方がはるかに役立ち、こども達の学力もぐんと向上すると思う。

私は、都会の学校を木々や植物・畑や田んぼに囲まれた自然環境に整えて、殺伐とした雰囲気の現状を変えて欲しいと思うが、それに賛成の政治家や文部官僚は見当たらない。
彼らは、そんなところにお金を使う気はさらさらない。
そして、教師が情熱を持って自分の良心に基づいて教育したり、心豊かに子供たちが育つような教育も望んではいない。

お上に逆らわず、唯ひたすら従ってくれる国民に育ってくれれば良いのである。そこにお金を使うのが、政治の本質なのである。
それらと一緒になって権力そのものに成り下がり、学校や教師叩きにうつつを抜かしている多くのマスメディアが、日本の教育を更にダメにしている悲しい現実と言えよう。                 





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