中学校の頃、部活はバスケ。

1年生がたくさん入り30人少々。
6チームも作れてしまう人数だ。

「背が伸びたらいいなあ・・・」。
「バスケをすると背が伸びる」という噂を信じたのだった。
1年生は人数が多すぎるのでいつも外。
トレーニングばかり。
腕立て、腹筋、カニ、ダッシュ、ストップ&ダッシュ、ウサギ、アヒル、ランニング。
ここは陸上部かと思えるほど走りに走る。

夏休みの練習。
また外。
先輩曰く、「水、飲みたい人―」「はーい」と素直な僕。
先輩おもむろに持っていたバケツを差し出す。
「ホラ!!」「えっ、これ飲むんですか?」
仕方がないので、両手ですくって飲む。
(蛇口から水を飲めると思って手を挙げたのにな)でもそんなことは言わない。
いや、言えない。
次に何をさせられるか分からないから・・・

秋。
陸上競技大会前。
これまでにも学校の周りをよく走ってはいた。
5周とか10周とか。
ところが今日は何と「25周」と。
1周400メートルなので、そう10000メートル。
10キロ。
それまで、こんなたくさんの距離を走ったことがなかったので、(走れるかなあ)と心配になる。
走り始めて何周か回った頃、一人の子と並走状態になる。
ずーっと一緒に走り続ける。
遅い子を追い抜かす。
一人二人。
2回目いや3回抜かした子もいる。

15周を過ぎたあたりで3年生がどこかから借りてきたのか自転車で走り回っている。
私たちの周りを。
声援を送ってくれるのはいいが、こちらはただただ走り続けるだけ。
3年生は1年生が疲れ果てた姿で走っているのをしり目に自転車で横をすり抜け、楽しんでいる様子。
先輩はいいなあ。
楽そうだな。
自分も乗りたいなあ。
なんて思いながらひたすら走る。
1時間以上走ってようやくゴール。
足がパンパンだったのを覚えている。
そして、(途中からずーっと一緒に走ったから走りきることができたんだなあ)なんて思う。
 
またある時。
いつものように校庭でトレーニング。
違うクラブもよくトレーニング。
それは、卓球部。
このクラブ、バスケと比べたらそんなに人数も多くないのによくよくしている。
校庭でトレーニングを。
私たちよりきつそう。
3年生の先輩をはじめとして8人ぐらいで声もなくアヒル歩き。
3年生は元気そうだが、1年生は今にも死にそうな顔をしている。

トレーニングは黙々と続く。
いつまでもいつまでも・・・見ていて恐ろしさがひしひしと伝わってくる。
よかった、卓球部よりはましか!!
 
2年となって地獄のトレーニングからは解放され、ボールを使って体育館や校庭で練習を重ねる毎日。
背は伸びたが、準、準レギュラーにもなれず、ちゃんとしたユニホームを着ることなく2年生いっぱいで退部した。
一度だけ他校との練習試合の時、ユニホームの背中にチョークで数字を書いてもらって出場したのが後にも先にもその一度だけだ。

私にとって貴重なバスケ部での思い出だ。
 
もしかして日本の部活ってサディストの集団なのかもしれない。今も昔も変わらない部活のあり方に違和感を覚える今日この頃です。


                               


<つい言った―>