京都大学教授でノーベル医学生理学賞を受賞した山中伸弥教授は、「日の丸」という言葉をよく使います。
受賞が決まった時は「日の丸の支援がなければ受賞できなかった」と言われ、授賞式に臨む前には「日の丸があがるような気持ちで受け取りたい」と話しておられました。
これって、「日の丸」大好き人間にはすごく使えるエピソードなんです。
さっそく過日、都議会文教委員会で自民党の議員に、君が代強制を求める陳情を採択する議論の中で部分引用されました。
ノーベル賞を受賞された方が言ったということになれば、言葉はどんどん一人歩きしていくものです。
ちなみに、この陳情とは、「東京都教育委員会の10・23通達(卒業式等での君が代起立強制)強化を求める陳情」で、11月28日に都議会文教委員会で採択されました。
私は、山中氏の言動に当初よりいささかの違和感を抱いておりましたが、授賞式でこれがさらに強まりました。
もっとも、伝えるメディアが殊更に「日の丸」発言を強調して取り上げていることは十分承知はしていますが・・・・。
国家が後押ししないと、研究も国際競争に勝てず、海外に頭脳流出なんてことにもなるのでしょうが、国が真っ先にお金をかけるべきは他にもあるはずです。
よく「親方日の丸」なんて言葉も使われますが、特に国家主義を意識した言い方ではないようです。
しかし、「日の丸」を日本国とか国家を指して言う言い方は軽率と言わざるをえません。
そこには、戦争に駆り立てたものとしてより、「日の丸」を現代のこの国の象徴として認める意識が横たわるからです。
そして、この国の政治が極めて危うい方向に舵を切る勢いの今、「日の丸」発言はそれを増幅する役目を果たします。
医学生理学賞を受賞する方には、残念ながらそのあたりの認識が希薄なようでなりません。
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