生活保護費が最低賃金より上回る「逆転現象」が、11都道府県で見られたとか。
これでは、真面目に働くのが嫌になるのも当然だというのだ。
どうやら、生活保護費の「不正受給」とやらがとりざたされて以来、生活保護費に対しては世の中の目が厳しい。
弱者に対しての連帯の思想がまるでない。
生活保護費が高いのではなく、最低賃金が低いのだ。
そこのところを忘れては困る。
そもそも労働運動の一つの大きな課題は賃上げである。
今は、賃下げをいかに阻止するかなどと志も低下してしまったが、最低賃金を上げることが労働者全体の賃上げにつながるという観点から、労働組合は最低賃金を上げる運動が極めて重要な闘いだったのである。
ちなみに、公務員労組はスト権を確立して賃上げを要求することが禁じられていたが、人事院勧告で満足することなく、各自治体ごとにプラスアルファーの賃金を勝ち取ることが労働組合のラジカルな闘いだったのである。
さらに、公務員労組が闘いの先陣を切って果敢に闘うことによって民間に波及し、労働者全体が闘うことにつなっがていくのであった。
ところが、総評が解体し連合になると闘いは一気に弱体化し、共に足を引っ張り合う「醜い労働者団体」と化してしまう。
公務員バッシングは労働者自らまいた種が基なのだ。
さて、今度は弱者バッシングか。
これをするのは決して大金持ちではない、けっこう自らも弱者だったりすることが多い。
いつもの腐りきったダメメディアのアナウンス効果は大きな影響を与える。
「11もの都道府県で最低賃金が生活保護費を下回るという結果が出ました。これは、大変なことです。一刻も早く最低賃金を上げないと、人々の生活は疲弊し切ってしまいます。」
「生活保護費の必要な人々全てに、救いの手が回っているか精査することはもちろんのこと、今こそ働く者の賃金をしっかり支給し、生活の質を高め、労働意欲を喚起することによって企業を活気づけることが必要です。そうすることにより、景気を回復させることが我が国にとって重要ではないでしょうか。」
と、こんな報道をすればよいのです。
<すばる>