4月13日
何だか拙訳を披露してばかりですね。
デニス・テン選手を傷つける卑怯な行為が終りますように。その願いをこめて
タチアナさんは、スケートのイベントで必ずと言っていいほど姿を見かける方ですね。
これまで日本人選手の取材もたくさん行っています。
オリジナルはこちらから
http://www.figureskating-online.com/cacophony.html
内容が内容だけに、全文を載せます。今回、なるべく逐語訳をするように心掛けました。
「激昂の不協和音」
誤った言葉-そしてそれが引き起こす可能性のあるもの
フィギュアスケートは攻撃的なスポーツではない。スケーターはお互いに競い合うが、氷を離れればほとんどの場合、互いに親しい。ライバルがダイニングルームで隣り合って座り、昼食をとることもある。数時間後には、相手よりより少しでも上になる事を目指すというのに。しかし、ファンはスケーター達が互いに戦いの場にいる必要があると、時には思うようだ。
3月30日の水曜日、ボストンで開催された世界フィギュアの男子ショートプログラムのプラクティスリンクで、日本のスパースター羽生結弦とカザフスタンのオリンピック銅メダリストデニス・テンが氷上で接近してしまった。スケーターがお互いに近づき過ぎることは時々起る。おそらく自分のすることに夢中になり過ぎて十分な注意が払えないからだろう。多くの目撃証人はデニスがスピンの練習をし、結弦が曲掛け練習を行っていたと確認している。デニスの周囲には十分なスペースがあったが、結弦がほとんどぶつかるように近づいていった。物理的な接触はなかった。結弦は怒り沸騰したようで、デニスをどなりつけた。
これは、普通ならすぐ忘れ去られるような些細な出来事に過ぎなかった。残念ながら、その日、結弦がミックスゾーンで記者達に話した時に、彼はデニスが自分を傷つけようと故意に邪魔をしたと責めた。このような激しい非難に根拠はなかったのに、喜んで事件をとりあげ過大に報じたメディアがあった。
いったい誰が、スケーターが他のスケーターを傷つけようとしたなんてまともに信じるのだろうか。私はこれまで20年以上もフィギュアスケートの取材を続けてきた。練習時間や6分間練習での接触すれすれの事態や、実際の接触も数多く見てきたが、他のスケーターが故意に企んだと非難するスケーターは一人もいなかった。結弦がこの発言をしたのは、おそらく重大なストレスの中にいて、2014年中国杯の6分間練習でハン・ヤン選手とぶつかった際のひどいアクシデントが記憶の中にあったからだろう。そう、彼は過剰に反応してしまったのだが、ジャーナリストの中には、この発言をスキャンダルにするために喜んで使い、日本スケート連盟が「抗議」や「苦情」を提出するとまで書き立てる者がいた。
その結果、結弦のファンの中にも過剰に反応する者がいて、デニスに脅しや憎しみのメールを送り出した。カザフスタンの当局者は一方的なメディアの報道を目にし、快くは思わなかった。激昂の不協和音の中にもジャーナリストやファンからの理性的な声を耳にしたけれど。かつてデニスと結弦が近づき過ぎたことがある、他の練習や6分間練習の画面をアップし、それを「証拠」とする者まで現れた。いい加減にして欲しい。誰もが、多くのスケーターの間で、多くの同様なでき事を目にしている。興味深いことに、ボストンの練習セッションの映像は見ることがない。フジテレビがそこにいて、セッションを撮影していたにもかかわらず。この出来事のフィルムはあるはずなのに、彼らは公開しようとしない。
不幸にも、日本スケート連盟はこの事態がどのように展開していくか認識できず、すぐに介入しなかった。土曜日にチームリーダーの小林芳子がプレスに対し、連盟は抗議といった書類の提出はしない、そのつもりは全くなかったと述べただけだった。日本スケート連盟は、また、カザフスタンの連盟へのレターでこのことを確かなものにした。
最後に、両スケーターだけがミックスゾーンにおけるこのような不注意な言葉の犠牲になった。なぜなら羽生もまた批判を受けることになったから。土曜日、結弦はデニスに近寄り、彼らは言葉を交わし、そして握手をした。彼らはこの話を終わりにしたが、不幸な事に終わらせようとしない、(自分をファンだと思っている)者たちがいる。デニスが彼と結弦が握手しているフォトを公開した時でさえ、これらの者たちは非難を止めようとしない。
うんざりだ、まったく!
ところで、金曜日のメインリンクで行われたフリースケートの練習では、曲掛け練習をしている結弦がスピンを練習している宇野昌磨にあわやというところまで接近した。昌磨は、最後の瞬間に避けることができた。いったい誰が、昌磨が傷つけようと故意に結弦の滑る方向にいたと、真剣に信じるだろうか?
タチアナ フレイド