4月12日
スターズ・オン・アイスで美しいスケートを堪能できる私達は幸せです。
しかし、現在の競技の世界が続くと、ショーも無味乾燥なスケートで溢れることになりそうです。
スケート界の大御所中の大御所、ソニア・ビアンケッティさんの2016年世界フィギュア感想を紹介します。
殿堂入りを果たし、少し口調がまろやかになったかなと心配していたのですが、国際スケート連盟変革期を迎え、熱い思いが抑えきれなかったのかもしれません。
ISUチンクアンタ会長は6月に退任します。
驚いたことに、チンクアンタを支え、現在のジャッジングシステムを強力に推進してきたドレ副会長の訃報が、つい数日前に届きました。
全文訳は大変だったので抜粋のみ
誤解をしないで下さいね。彼女は、基本的にスケーターの批判をしませんし、素晴らしいスケーター達に賛辞を惜しみません。
問題としているのはジャッジングシステム。
文章もそれに関わるところを訳しました。
サイトはこちら:
http://www.soniabianchetti.com/writings_2016worlds.html
「素晴らしい世界フィギュア 2016」 ソニア・ビアンケッティ
(男子の銀メダリストについて)
私が驚きがっかりしたのは、彼のパッションに欠いた滑りと、いつもとは逆に何も感情を伝えなかったこと。それにも拘わらず、プログラム構成点では92ポイントが与えられました。またしても同じ疑問が湧きあがります。これらの数字は、実際に氷上で行われたことを本当に反映しているのかと。
世界フィギュアが終わりました。稀なケースを除いて、このスポーツをかけがえのないものにしてきた芸術性、創造性、音楽の理解と表現、喜びや心のうちで感じているものを観客に伝えるスケーターの技術、それらのものが失われてしまっています。次のジャンプが心配で、まるで悪夢の中で滑っているようです。殆どのスケーターは1つのジャンプから次のジャンプへとひたすら走り、時には一つの転倒から次の転倒へと走るほどです。私が失望するのは、多くの才能あふれたスケーターが転倒でプログラムを台無しにしていること。それは結果のために不可欠な4回転を義務付けられている男子の試合で顕著です。
現在の国際ジャッジングシステムでは、回転さえしていれば、着氷できなくても基礎点が保証されます。4回転ジャンプはビシャッと音をたてた着氷でも、完璧に跳んだ3回転ジャンプより高いポイントがつきます。この狂気じみた採点が何度も何度も繰り返されているのです。常識から言って、ステップアウトしたり、両手を付いたり、お尻を付いたり、壁にぶつかったりしたら、そのジャンプは失敗なのです。フィギュアスケート以外に、これほど失敗にご褒美を与える競技があるでしょうか。
このスポーツが、信頼の最後のひとかけらさえ失いつつあるのも不思議ではありません。
今のジャッジングシステムは、プログラムの美的、芸術的部分に比べ、難しさに多大なポイントを与えます。無駄のない滑り、流れるようなディープエッジでの滑り、複雑なフットワークにもっと評価を与えるべきです。意味のない腕や体の動きをよく目にしますが、中にはぞっとするものさえあります。
ジャッジングシステムがシンプルになり、スケーター、コーチ、そして観客にとって理解しやすいものになることが、このスポーツの未来を左右します。秘密裏に行われる採点はもうたくさん!!
世界フィギュアが行われたボストンで私達が目にしたものはラクダの背中を折る最後のストロー(1本の藁)かもしれません。
今年の選手権はスケートシーズンの終わりではなく、国際スケート連盟オッタビオ・チンクアンタ会長の終焉を意味するものでもあります。
チンクアンタは22年間続いたISU会長の座を定年のため6月に退きます。同様の事が、かなりの評議会メンバーにも起こります。テクニカル委員会への影響も大きく、ISUのリーダーシップが本格的に改編されることになるでしょう。
私の心からの願いは、新しいそして若い世代のリーダーが勇気と知恵をふりしぼり、素晴らしい、皆が愛した私達のスポーツを取り戻す変革に乗り出してくれることです。フィギュアスケートの美しさ、魅力、芸術性、そしてとりわけ人気を取り戻すために。 (終わり)
新しい若い世代のリーダーという言葉に、私は小塚崇彦さんを思い浮かべました。
崇ちゃん、チャレンジして欲しいな