10月13日
今日もダラダラと。ブログ主のマイクはふて寝をしていますが、飼い主はめげずにブログを占領中
あなたが書かれた記事の中で、ヤグディンのプログラム"仮面の男”では、何回クワドやトリプルジャンプが成功したか思い出せないけれど、でもプログラムのパッションや感情を思い出す事ができると記されていますね。このようなプログラムは今のシステムでも可能ですか?それとも、全く失われてしまったのでしょうか?
あのようなプログラムをこのシステムで作るのは非常に難しいでしょうね。高橋選手はそれができるスケーターです。でも他の選手はよりテクニカルになるでしょう。もう一つ言いたいことが。以前はスケーターを覚えていることができました。なぜなら彼らは何度も勝利者になったからです。今、結果はその日の出来次第、勝者が一ヶ月後の次の試合で15位に終わるという事もありえます。今の時点でベストのスケーターは誰かと名前をあげることができません。以前は、ミシェル・クワンや荒川静香がいましたし、彼らがチャンピオンである事を誰もが知っていました。でも、今はそのタイプのチャンピオンはいません。
しかし、あなたは記事の中で、この新しいシステムについて一つ良いところは出来の悪いショートプログラムの後でも選手が順位を上げられることだと述べていますね。
でも、以前のシステムでも可能だったのですよ。ジャッジの多数決で決められる順位点は、コンパルソリーの影響を和らげるために導入されたのです。今、コンパルソリーはありません。順位点があったとしても、絶対的なポイントも付けることができますし、それで選手はショートプログラムが不満足な出来でも最後に勝つことができるはずです。私は当時、そう提案したのですが、テクニカル委員会がポイントでなく順位点を選んだのです。理由はポイントではジャッジの影響力が大きくなるというものでした。私はその提案書を自宅に残していますけれど。そうすれば問題は解決できたのですが。
あなたはコンパルソリーを競技からはずした方ですよね。なぜ、そうされたのですか?
コンパルソリーはトレーニングには必要です。あなたがバレエダンサーで、スカラ座で踊るとして、毎日毎日練習しているエクササイズを踊ったりしないでしょう。もしくはピアニスト、コンサートを行うのに交響曲を演奏しても練習曲は弾きませんね。フィギュアでも同じこと。フィギュアスケートは私たちがジャッジをしていた頃とは違います。でも、スケートは深いエッジでターンするものなのでスポーツのために大事な事。けれども、試合に入れるとなると、採点するのに数日かかってしまいます。多額の費用がいるし、テレビ画面で人々を惹き付けることもできないし。選手が演技で良くても、コンパルソリーが悪いため勝てなかったとしたら、誰もそれを理解できないでしょう。それでコンパルソリーを競技からはずし、各連盟の基準にとどめたのです。でも彼らは完全に消し去ってしまって。それは誤りでしたね。各国の連盟が、テストの際に、いくつかのコンパルソリーさえ課すのを止めたのは間違いです。子供たちの練習を見ると本当にひどい有り様です。子供たちは靴を履くとすぐ、リンクをぐるりと滑るのではなく、ジャンプをし、スピンを一回転し、そして脚をつかむよう教えられるのです。そう、彼らは基礎的なエレメンツを何もやらないのですよ。これは大きな間違いです。
コンパルソリーダンスがアイスダンスの競技から外されたことについて、どう思いますか?
これも大きな間違いだと思いますね。彼らは依然としてエッジ使いの練習をしなければならないので、ダンサーはスケートが上手です。でも、これから数年、彼らがワルツや他のダンスを練習する必要がないとしたら、彼らのスケーティングがどのようになるか分かりません。現在のところ、ショートダンスはコンパルソリーダンスとオリジナルダンスを合わせたものとなっています。アイスダンスは随分と変わってしまい、私にはダンスというより、何か違ったものに見えます。アイスダンスを好きだったことはなかったのですが、今は少しだけ好きになりました。少なくとも音楽に合わせて滑りますし、しょっちゅう転んだりしませんし、それで好きになったのでしょうね。アイスダンスはフィギュアスケートより魅力的かも。
もしジャッジングシステムが今と変わらないとして、このスポーツの未来をどう見ていますか?
言うならば、何の未来も見えません。彼らはどうにかしてシステムを簡単なものにするべきです。そうすることを願っています。チンクアンタですら複雑すぎると言っていると聞きましたから。たぶん、ISUのリーダシップが替わる時に、何かすべきと言い出す勇気を持つのでしょう。私達は6.0システム、旧採点のシステムを100年以上も維持していました。完璧なものではありませんでしたが、フィギュアスケートに完璧な採点は生まれないでしょう。主観的なスポーツなのですから。ストップウォッチを持ちたいですけど、このスポーツには役に立ちません。以前のシステムの良いところと、現在のシステムの良いところを取り出し、それらを合わせたものはより改善されたものになると思います。二つのシステムの最良部分を合わせて新しいジャッジング方法を作り出す、これが解決策なのではないでしょうか。新しいリーダーは、コーチ達や異なる意見を持った人々とじっくり話し合い、最良のものを作り上げていく必要があるでしょう。どれだけ待たなくてはいけないか、分からないですけど。
あなたは長い間 ISU の中心にいて、それなのに今は、一線を離れて見ているだけ。この状況についてどう感じていますか?失望していますか?
私があの時以来どう扱われたか、失望してないというのは嘘になりますね。(あの時というのは、彼女がで世界スケートフェデレーションを創立し、ISU から追い出された時)。何年もフィギュアスケートから離れて寂しいです。でも、これは言っておかないと。その際、本当にたくさんの感謝、愛情、尊敬の意を多くの人々、コーチやスケーターから受け取ったのです。信じられないくらい。世界中のコーチと毎日連絡しあっています。彼らは私の意見を聞きたいといって。スケーターとも、本当に素晴らしいこと。何年にもわたって。これは私への素晴らしいご褒美ですね。私に会うと彼らはいつも言いますよ、”見て下さい、私たちの美しいスポーツに何が起きているか”って。ISU 内の雰囲気は完全に変わってしまいました。私たちは、テクニカル委員会、諮問会、コーチというように、グループで喜びをもって働いていました。それはファンタスティックなものでした。今は、全く違います。そこには独裁者がいて、誰も恐れて口を開こうとしません。コーチが手紙で ”ソニア、悲劇的な状況だよ。何ができるだろう?”と訊ねます。”口を開いて!”と私は言うのですが、でも彼らは、”そんなことできない。処罰されるからできない。自分のところのスケーターが被害にあうかもしれないし、テクニカルスペシャリストとして招集されなくなるかもしれない”などと言うのです。誰かが口を開くべきです。でもそれが誰なのか、私には分かりません。
(続きます。なお、彼女の息子のファビオについての記述は割愛します。)