サルが暴れまわっている宮崎に一週間ばかり帰っておりました。
東京に住んでいると、故郷である宮崎の良い部分がよく解ります。
宮崎には自然と神話と伝統的な文化が色濃く残っています。
「四半的(しはんまと)」というのがあります。これは宮崎県日南市飫肥に伝わる弓術の一種で、日南市の無形民俗文化財。広く行われている一般的な弓道とは違い、座って弓を引き矢を的に当てる、という娯楽です。的までの距離が四間半(約8.2m)、矢の長さが四尺半(約1.36m)、的の大きさが四寸半(約13.6cm)である事から「四半的」の名がついています。
弓ですから元来武術で、伊東家の農民兵達が当時飫肥を治めていた島津軍に対して短い弓を引いて戦い見事勝利を収めたところから始まるそうです。
後に伊東家は農民兵達の功績を讃え、国防と娯楽を兼ね添え農民が弓矢をもつことを許可し「四半的」の始まりとなったのだそう。また南九州の武将達が宴会の余興としても楽しんでいたそうです。
日南には飫肥城という伊東家のお城の遺跡があるのですが、そこで「四半的」を試射することができます。10本で300円也。
普通目にする「弓道」の弓とは違いだいぶコンパクトな作りになってます。これだったら持ち運びが便利で誰でも引けそうです。武士と違い戦闘訓練を特に受けていなかったであろう農兵達の武勇伝も信ぴょう性を帯びてきます。当時のはもっと強い弓だったかもしれません。
弓の引き方矢の放ち方は指導員のオジサンが丁寧に指導してくれました。畳に跪いてグーで弓を握って、グーで顎まで引いて矢を放ち的に当てる。たったこれだけ。複雑な握り方もなく、礼法も形式も全くない、老若男女誰もが楽しめる、知る人ぞ知るレアで超簡単な大衆娯楽!
射法八節とかきちんと礼法も演武ではするようですが、普段は焼酎とか呑みながらやるような遊び。宮崎では大会も開かれている模様。調べてみると動画もありますが、ほとんどがシルバー層じゃないですかあ!若い人が映っていない・・・。地味すぎるからか・・・。正座でも椅子に座ってもいいし、手軽にできるからシルバー層には釣りとかゲートボール感覚なのでしょう。的に当てるために感覚を集中するのはボケ防止に最適です!?
やってみましたが以外に難しいです・・・。友人も苦戦。弓を引くというのも初体験。弓は原始的なエキスパンダーだ!腕や肩、背筋群が鍛えられますね。プルプル腕が震えて全然的中しない。やっていくと確実に体力と集中力が養えそう。いとも簡単に的に当てるシルバー層、恐るべし。参りました。結局10本中一本だけがど真ん中に決まりました。これは面白い。気持ちいい感覚。
命は一発しかないけど、矢は一本でも当たれば生きてる間、不可能はないってことで。都合のいい精神的解釈でした。で、 柔術にも居捕りといって座って技をかけたりしますが、腹と腰と姿勢、呼吸などがキチッときまってないと成功しません。
的の真ん中にストライクすると、指導員のオジサンが太鼓をドンドンと叩いて、飫肥杉(たぶん)で出来た記念品の認定証が貰えます。文面を読むといきなり名誉初段になってました。これで有頂天になって俺は弓道初段だ!っていっちゃいけませんね。
日本では弓というと神事や戦、狩りに古くから使われてきました。天地自然に対する畏敬の念、人の命を奪い、また生かしもする道具。暗い世界に光と調和を与え給えという人々の願望。
そのような力を引き継ぎながらも格式ばらず、普段着で、純粋な的当て娯楽として楽しめる宮崎の伝統的な「四半的」はもっと広がって欲しいと思います。もし宮崎に行く機会があったら是非体験してみて下さい。
ウズメが舞って神々が笑ったように、農耕民族らしく座って当たった!とか外れた!とか楽しんでやったほうが天の岩戸も開くってもんじゃあないでしょうかね。
2020年の東京五輪が決定しましたが、「四半的」も競技項目に入ったら、私が出場します!300円で名誉初段だから!





