2022年J1通信簿 その4 | BBGのブログ

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J1通信簿企画、今回で最終回です。
今回は優勝したマリノスから4位の鹿島までを紹介いたします。


【2022年J1通信簿 その4】

■1位 横浜F・マリノス 20勝8分6敗 勝ち点68
『分厚い戦力を擁しながらも一体感を保ち、3年ぶりの戴冠を達成。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】100点
【MF】80点
【DF】80点
【GK】90点
【指揮官】90点
【総合点】440点
【補強評価】A
【MVP】岩田智輝


クラブ創設30周年を迎えた今シーズンは、タイトル奪還へ向けて大型補強を断行。
前線にはアンデルソン・ロペスと西村、中盤には藤田、DFラインには永戸とエドゥアルドとJ1各クラブでレギュラーを務めていた選手を加え、大幅に陣容を分厚くさせてのシーズンインとなった。

結果的にはこの「層の厚さ」が優勝の最大の要因になったと言えるだろう。
ACLこそラウンド16で敗退となってしまったものの、コロナ陽性選手が続出した序盤戦や、公式戦4連敗と苦しんだ8月の不振を乗り越えられたのは、誰を起用しても質の落ちない総合力の高さあってこそ。
11得点を挙げたレオ・セアラがバックアッパーに回るなど他クラブが羨む圧倒的な戦力を武器に、苦しい試合を時にはタレント力でねじ伏せながら、リーグ最多の70得点を挙げて見事3年ぶりのリーグ優勝に輝いた。

一方で失点数もリーグ最小の35と、今季のマリノスは決して攻撃力だけが突出したチームではなかったこともまた事実。
DFラインに関しては年間を通して柱となる選手がおらず、多くの選手が入れ替わりながらの起用となったことを考えれば、こちらも総合力の高さが導いた堅守と言っていいだろう。

こうした選手起用を含め、マスカット監督のチームマネージメント能力も今季は際立っていたと言っていい。
実績ある選手たちの出場機会が限定される中でも、しっかりと選手たちをまとめ上げたモチベーターとしての手腕はお見事。
主将の喜田を中心に選手たちも最後まで一体感を失わず、どんな状況下でもチーム全体の強い団結が感じられたことも優勝の大きな要因と言っていい。


■2位 川崎フロンターレ 20勝6分8敗 勝ち点55
『戦力面で苦しんだ中でも、王者としての意地とプライドは示した。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】80点
【DF】80点
【GK】80点
【指揮官】80点
【総合点】400点
【補強評価】E
【MVP】家長昭博


3連覇を目指して臨んだシーズンだったが、リーグ戦では勝ち点2及ばず2位でのフィニッシュ。
天皇杯、ルヴァン杯も揃って早期敗退と悔しさの大きく先行する一年となった。

ノンタイトルの最大の要因としては、「E」評価に終わったことからも明らかのようにシーズン前の補強の乏しさが挙げられるだろう。
昨季もシーズン途中に移籍した三笘、守田の穴埋めに相当苦労する一年となったが、彼らがシーズン頭から不在の今季はやはり明確な即戦力の補強が必要だったことは間違いない。
「大型補強」を施した横浜に対し、チャナティップと瀬古を除くと全員がルーキーという補強で太刀打ちするのは無理があったと言っていい。

加えてエースとして期待されたレアンドロ・ダミアンのスランプという不測の事態もあった中で、優勝にあと一歩まで迫ったことはむしろ高く評価するべきとも言えるだろう。
36歳という年齢を迎えながらキャリアハイに近い活躍を披露した家長の奮闘や、来日2年目を迎えたマルシーニョのブレイクもありエースの不振を全員でカバー。
リーグ戦ラスト4試合では合計11点を奪うゴールラッシュで4連勝を飾り、横浜をギリギリのところまで追い詰めた様はまさに王者としての意地とプライドを感じさせるものがあった。

とは言え、長らくチームを牽引した主将の谷口もこのタイミングでの海外移籍が決定し、ダミアンのコンディション不良が続く現状を考えると来季こそは大型補強が必ず必要となってくる。
来季で7年目を迎える長期政権となった鬼木体制の「マンネリ感打破」という意味合いも込めて、チームに新しい風を吹き込むようなビッグネームの獲得を今オフは求めたい所だ。


■3位 サンフレッチェ広島 15勝10分9敗 勝ち点55
『監督交代がヒットとなり、新生広島として充実の一年を過ごす。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】90点
【DF】90点
【GK】80点
【指揮官】90点
【総合点】410点
【補強評価】B
【MVP】佐々木翔


ブンデスリーガでの豊富な実績を持つスキッべ監督のもと、従来の広島のスタイルとは異なるハイプレスを基本とした戦術の導入に取り組んだ今シーズン。
それだけに指揮官の来日遅れは大きなディスアドバンテージとなり、開幕5節を終えた段階でチームは17位と大きく低迷。
周囲から不安の声が噴出する序盤戦となったが、終わってみれば3位フィニッシュと近年では最高の成績を残すことに成功した。

好成績の最大の要因となったのはやはりスキッべ監督の指導力であり、今季は若手選手を中心に多くの選手の才能が花開く一年となった。
レギュラー抜擢を受けたルーキーの満田は9得点8アシストと初年度からチームに欠かせない戦力となった一方で、28歳の野津田はボランチとして新境地を開拓しチームの柱へと成長。
マネージメント能力でも巧みな手腕を発揮した指揮官は常に選手たちのモチベーションを奮い立たせ、バックアッパーに回った選手たちもそれぞれが要所要所で欠かせない戦力を担った。

こうした巧みなチーム運営がリーグ戦だけでなくカップ戦での好成績も生み出すこととなり、天皇杯準優勝という結果に加えて直後のルヴァン杯では7年ぶりのタイトル獲得に成功。
就任初年度でリーグ3位、天皇杯準優勝、ルヴァン杯優勝という結果は最大限の評価に値すると言っていいだろう。

大胆な戦術転換を進めながらも、これまでの広島らしさであるDFラインからのビルドアップも重んじた「バランス感覚」の良さも日本サッカーに素早くフィットした要因と言えるだろう。
Jリーグの各クラブにとっても学ぶべき点の多い鮮やかな監督交代に成功し、来季以降は更に楽しみな存在となることは間違いない。


■4位 鹿島アントラーズ 13勝13分8敗 勝ち点52
『上田の退団を機にチームが瓦解。再度イチからのスタートに。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】80点
【MF】70点
【DF】70点
【GK】60点
【指揮官】60点
【総合点】340点
【補強評価】C
【MVP】樋口雄太


クラブ史上初となる欧州出身のヴァイラー監督を迎え入れてスタートした新シーズン。
コロナ禍による影響でヴァイラー監督の来日が出遅れるというアクシデントがあったものの、代行を務めた岩政監督のもとでチームは序盤戦から快進撃を披露。
ヴァイラー監督合流後も好調を維持し、10節を終えた段階で首位に立つなど久々に優勝の気運を感じさせる滑り出しとなった。

しかし、エースとしてこの快進撃を牽引した上田綺世の欧州移籍が決定するとチームは途端に瓦解してしまう。
前線の柱が上田から鈴木に代わったことでヴァイラー流の縦に速い攻撃が機能しなくなり、得点力が大幅に低下。
ピッチに立てば強烈な献身性でチームを牽引した鈴木だったが、自身のスピード不足から「ボール保持」を求めることで指揮官と明確な対立を生み出した点は主将として正しい振る舞いとは言い難かった。
結局鈴木を中心とした選手との関係悪化が進み、優勝もまだ十分に狙えた8月初旬にクラブは監督交代を決断を強いられることとなる。

以降は正式に就任となった岩政監督のもとでボール支配率を重んじたサッカーへの切り替えを図ったものの、就任以降の10試合でわずか2勝と成績は更に落ち込むことに。
シーズン途中の大きな路線転換を考えればやむを得ない結果ではあるものの、今季の成績に限って考えればヴァイラー監督続投の方が恐らくは好成績を残せていたことだろう。

結局一年を懸けてクラブとしての積み上げは残せないまま、来季はまた新体制のもとで「再スタート」のシーズンとなる。
クラブレジェンドでもある岩政監督だけに今回ばかりは長い目で見ることが予想されるが、常勝といったアバウトなワードだけではない鹿島らしさをクラブ一丸となって作り上げたい所だ。