2022年J1通信簿 その2 | BBGのブログ

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今季のJ1通信簿第2回、今回は9位の浦和から13位の神戸までを紹介いたします。


【2022年J1通信簿 その2】

■9位 浦和レッズ 10勝15分9敗 勝ち点45
『失敗に終わった3年計画。クラブにはこの失敗の真摯な検証が求められる。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】50点
【MF】60点
【DF】70点
【GK】70点
【指揮官】60点
【総合点】310点
【補強評価】D
【MVP】アレクサンダー・ショルツ


クラブが掲げた3年計画の3年目。
リカルド・ロドリゲス監督にとっては2年目のシーズンではあったものの、残念ながら昨季からの積み上げが乏しく不満の残る結果となった感は否めない。

積み上げというより、ピッチ上で目立ったのは昨季から続く「停滞感」。
槙野や宇賀神といったベテラン勢が退団し、より自身の戦術を浸透させやすいフレッシュな顔ぶれで臨んだものの、ポゼッションと結果が連動しないストレスの強い試合が引き続き多かった。
得点数こそリーグ上位の成績を記録したが、「固め打ち」で稼いだ試合が多く、リーグトップの15引き分けと勝ちきれない試合が多発。
最終節を待たずに退任が発表されたのも致し方なしと言っていいだろう。

その一方でACLでは勝負強さを発揮し、自身は退任となりながらも来年に控える決勝進出を達成。
リンセン、シャルクという2人のFWの補強がそれぞれ不発に終わり、松尾や小泉をFWで起用するという苦しい編成の中でも一年間戦い抜いた点は評価に値する。
前線で柱となるCFがいればまた違った結果もあり得たかもしれないが、ここはフロントの責任も重いと言っていい。
年間を通してほぼ欠場となったユンカーを含め、助っ人勢の稼働率の悪さに関しては「見極めが悪い」と言われても仕方ないだろう。

何にせよ、終盤戦にはサポーターからも批判的な横断幕が掲げられたように「3年計画」に関してはあまりにも薄っぺらい計画だったと言わざるを得ない。
もう一度クラブとしてどのようなサッカーを志し、目標達成へ向けてどのようなチーム編成を目指すのか。
計画の失敗を踏まえた上でこの点を真摯に検証しない限りは、まだまだリーグ戦での低迷からは脱出できないだろう。


■10位 北海道コンサドーレ札幌 11勝12分11敗 勝ち点45
『目標達成はならずも中位は維持。この結果の捉え方で評価は異なるものに。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】60点
【DF】70点
【GK】80点
【指揮官】70点
【総合点】340点
【補強評価】C
【MVP】菅野孝憲


いよいよ5年目のシーズンとなったペトロヴィッチ監督のもとで臨んだ新シーズン。
昨季の課題だった「CF不足」を解決すべく、愛弟子とも言える興梠を獲得して開幕を迎えるも、リーグ戦では10戦2勝と苦しいスタートに。
ハイリスクなスタイルゆえの守備の不安を解消できず、7節で鳥栖に0-5で敗れるなど一時は降格圏に足を踏み入れるまで低迷した。
38歳にしてキャリアハイに近い活躍を見せた菅野の好守連発がなければ、さらなる守備崩壊も十分にあり得たことだろう。

毎年のように課題に挙げられる守備の脆さが解決されない点に関しては現体制の限界とも言ってよく、選手の変わり映えも少ないことから「マンネリ化」している事実は否めない。
その一方で、シーズン後半戦では見事な巻き返しを見せてしっかりと中位でフィニッシュしたのもまた事実。
31節では川崎を相手にホームで4-3とド派手な打ち合いを制する「これぞミシャサッカー」という試合を披露するなど、相手からの研究が進んでも決して下位には沈まない確固たるスタイルの構築に関しては高い評価が与えられるだろう。

それ故に現体制の評価は難しい所だが、クラブが長年の目標として掲げる「タイトル獲得」のためにはもう少し成績の安定感が必要となるだろう。
今季も天皇杯は3回戦にて敗退、ルヴァン杯でもプレーオフステージ初戦で敗退と結果を残せず、「ACL出場」というリーグ戦の順位設定も含めて目標とは程遠い結果の一年となってしまった。

資金力には決して優れるクラブではないだけに、毎年リーグ中位でのフィニッシュを満足と捉えるのであれば引き続きペトロヴィッチ監督に指導を託すのも決して間違った選択ではない。
ただし、今季掲げた目標を今後も本気で目指すのであれば、そろそろ「次の体制」も視野に入れるべきが来ているのではないだろうか。


■11位 サガン鳥栖 9勝15分10敗 勝ち点42
『厳しい下馬評を覆し、川井イズムの素早い浸透で充実の一年を過ごす。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】60点
【MF】70点
【DF】60点
【GK】80点
【指揮官】80点
【総合点】350点
【補強評価】B
【MVP】小泉慶


オフシーズンには主力選手が大量に流出し、開幕前の下馬評は降格の有力候補が主だった。
愛媛では目立った成績を残すことの出来なかった川井監督の招聘にも疑問の声が強く、大きな不安を抱えながらのシーズンインとなったが、蓋を開ければ降格争いとは無縁の一年を過ごすことに成功した。

際立ったのは不安視されていた川井監督が見せた巧みな手腕と言っていい。
これまでの鳥栖のスタイルとは大きく異なる「ボールを握るサッカー」への転換は時間がかかることが予想されたが、素早い戦術の浸透でチームは序盤戦から快進撃を披露。
相手からの対策が進んだ後半戦は4バックの導入など多彩なアイデアでチームに成長を与え続け、指導者としての評価を大きく高めるシーズンとなったことは間違いない。

また、補強資金が限られる中で今季は多くの新加入選手が躍動。
昨季はJ2でも8試合の出場に留まった堀米を筆頭にこれまで燻っていた選手たちを見事に復活させ、在籍2年目となった岩崎は日本代表に選ばれるまでのブレイクを披露した。
限られた資金力に合わせた的確な補強が出来るのも自身のサッカー感がしっかりと確立されているから故であり、特定のエースが不在だった中でもリーグ7位となる45得点を記録した点も高い評価に値する。

このように、選手の刷新に伴った思い切った改革が功を奏し、チームはこれまでにないスタイルを身につける一年となった。
最終盤では失速しやや息切れの結末とはなったものの、上位クラブとも互角に渡り合うなどJ1の舞台で改めて強い存在感を発揮。
来季以降への期待感が高まる、充実のシーズンだったと言って間違いないだろう。


■12位 湘南ベルマーレ 10勝11分13敗 勝ち点41
『強気な目標は達成できずも、エース誕生で今後への期待を抱かせるシーズン。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】50点
【DF】60点
【GK】80点
【指揮官】70点
【総合点】330点
【補強評価】C
【MVP】町野修斗


開幕前には目標を「5位」と掲げ強気なシーズンインとなったが、結果は12位に。
とはいえ、目標設定にやや無理があった感は否めず、ここ数年ではもっとも高い順位となったことは十分に評価していいだろう。

今季の最大の収穫はエース町野修斗のブレイクであることは間違いない。
加入2年目を迎えた23歳の若武者は、持ち前のポストプレイや積極的な守備に加え、今季は得点力が飛躍的にアップ。
やや固め打ちの傾向が強かったものの、リーグ2位の得点数を記録しワールドカップ選出も果たす活躍を見せた。

その一方で、町野の存在がありながらも得点数はリーグ15位に沈み課題の得点力不足は解決ならず。
石原を除くと中盤の選手起用は年間を通して定まらず、最後まで町野と守護神の谷に強く依存するシーズンとなったことは間違いない。

それでも熾烈な残留争いをしっかりと勝ち抜けたのは、誰がピッチに立ってもブレることのなかった「チームとしての方向性の確立」があってこそだろう。
湘南の代名詞とも言えるハードワークを大前提に、前線からの連動したプレッシングが今季は高い機能性を発揮。
就任2年目を迎えた山口監督のもとでチームは確かな進歩を披露しており、もう少しの戦力アップがあれば5位という順位も決して不可能な成績ではないと言っていい。

このように、結果以外の部分で大きな収穫と成長を感じる充実のシーズンだった。
今はまず、中田英寿氏以来24年ぶりのワールドカップ出場選手となった町野の活躍を楽しみに待つこととしよう。


■13位 ヴィッセル神戸 11勝7分16敗 勝ち点40
『経営陣の我慢弱さから年間4人の監督が誕生。残留以外の評価は何もなく。』

2022基本フォーメーション
【各セクション評価】
【FW】70点
【MF】60点
【DF】60点
【GK】50点
【指揮官】60点
【総合点】300点
【補強評価】D
【MVP】酒井高徳


昨季はクラブ史上最高位となる3位に輝き、大きな期待を集めて臨んだ新シーズン。
しかし、ACLのプレーオフでサンペールが大怪我を負ったことが響き、チームは序盤から低迷を強いられることとなってしまう。

リーグ戦で7戦勝ちなしと出鼻をくじかれると、我慢弱いフロントは早々と三浦監督の解任を決断。
ここで次期監督として選んだのは日本での実績豊富なロティーナ監督だったが…シーズン途中に招聘する監督としては大きな疑問が残る選択だったと言わざるを得ない。
時間をかけてじっくりと戦術を構築するタイプのロティーナ監督に即効性の強い立て直しを求めるのはお門違いであり、案の定結果が上向かずにいるとフロントは再度監督交代を決断。
一年間に実に4人の監督が指揮を執るという結果になった時点で(プラナグマ暫定監督を含む)低迷は必然の一年だったと言っていい。

こうしたフロントの決断に振り回され続けた選手たちだったが、最後は実に3度目の就任となった吉田監督もと「残留」を明確な目標に掲げて一致団結。
抱える戦力を考えれば決して評価に値する内容とは言い難かったが、夏の補強で加入した小林祐希の活躍などもあって9月から10月にかけてはリーグ戦5連勝を達成。
一時は18位まで沈んでいたことを考えれば、13位でのフィニッシュは見事な巻き返しだったと言っていい。

とはいえ、シーズン前の目標とは遠く離れた結果であったことは間違いない。
永井SDの就任など何かと多くの批判を集めたフロント陣は、今シーズンの反省をしっかりと活かした上で今度こそ長期的な視野でのクラブ強化に着手してほしい所だ。