ゆとり大学5年生 -11ページ目

ゆとり大学5年生

自分探しという名の現実逃避

俺の昔からの友人に土屋という男がいる。


ある日、こいつから高校を卒業して以来なので、


もう4年ぶりになるだろう。


連絡があって、深刻そうな声で、


「 ケンちゃんにお願いがあるんだ...電話じゃあれだから、


近々会えないかな?


こんな事頼めるのケンちゃんしかいなくて...。 」


そんなこんなで、昔馴染みの頼みとあれば、


聞いてやるだけでもと、土屋と4年ぶりに会う事にした。


俺には予想はついていた。


このパターンは確実にお金の話だと。


もちろん社会人1年目の俺に、人に貸せるだけのお金なんてあるはずもない。


貸せたとしても気持ち程度の3万円ぐらいだろう。


なんて事を考えたり、ぶつぶつ言っていたりはしていたが、


大学への進学で、他県に分かれてしまったが、


高校時代仲の良かった友人の1人だったので、


会える事は楽しみにしていた。


それに、土屋が今何をしているのかなんて知らないが、


やつも社会に出ていたとしたら、俺の今の現状と思いを、


やつと共有したかったという思いもあった。


そして、土屋と会う日はやってきた。


日曜日の昼下がり、待ち合わせ場所のカフェに、


土屋は当時と変わらない姿で現れた。


俺は変わらない土屋の姿にほっとした。


その土屋の変わらないあどけない笑顔の裏に眠る


狂気にこの時の俺は気づきもしなかったのだ...