「世界はなぜ仲良くできないの?」 | 日々の記録

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日々の暮らしのこと、好きな家具や雑貨のこと、旅の思い出、大好きな北欧やイギリスのことなどを綴っています。

2012年春、長年住んでいた関東を離れて、沖縄で暮らしはじめました。




    「知らないということが人を傷つけることもあるのです」




大学4年生の頃、「平和学」の授業で聞いた言葉です。

(担当は多賀秀敏教授。平和学が専門の先生です⇒  )

この言葉がずっと自分の心から離れずにいました。



先生が例として話してくれたこと。


     日本人の学生たちが、過去に日本が戦場にしたアジアの国へ旅した時のこと。

     その戦争で命を落とした人たちの慰霊碑の前で、

     彼らはピースサインをしながら笑顔で写真を撮っていた。


     彼らはそれが慰霊碑だとは知らずに、過去の自分の国の行為を意識することもなしに・・・

     しかし、それを見たその国の人たちは、どういう気持ちだろうか・・・?


     この彼らの行為は、二重にその国の人たちを傷つけている。


     知らないということが、人を傷つけることもある。

     だから無知は罪なのです。



このような内容だったと思います。

    

日本が過去に行った戦争や様々な行為・・・

その事実を、現在の私たちが変えることはできません。


でも、その歴史を学び、事実を受け入れ、自分の胸に刻むことはできます。

そうすれば、自ずとその後の自分の考えや行動は、それを知る前とは変わってくると思います。

知ることによって、再び誰かを傷つけることも避けることができます。



自分が知ることによって、誰かを傷つけるのを避けることができるというのは、

私たちの普段の生活にも言える事なんじゃないかな、と思います。


人は年と共に様々な経験を積み、嬉しく幸せな思いだけではなく、辛く悲しい思いもたくさんします。


自分が経験してみて初めてわかることもたくさんあります。


そうすると、同じような経験をした人に対して、理解を示したりやさしくすることができます。

自分が辛い思いをしたときに、同じような経験をした人から助けられることもたくさんあります。


そうやって、お互い支えながら生きてるんじゃないかなぁ、と思います。

だから、どんな経験も決して無駄ではないと思うし、様々な経験を積み重ね成長していくのだと思います。


でも、もちろん全てのことを自分で経験することはできません。


だけど、人は、自分が経験していないことでも知識として得ることができるし、

相手の気持ちを思いやる想像力も持っています。


自分が学ぶこと、知ることによって、誰かのことを傷つけたり悲しませたりすることは

避けることができるんだ・・・


今まで漠然と勉強をしていた自分が、そう知ったことで、学ぶことへの意識が変わりました。


自分は今まであまりにいろんなことを知らなさ過ぎたし、

それによって誰かを傷つけたこともあったかもしれない・・・


大学時代、すでに数ヶ国を旅をしていた私には、先生が話した日本人学生の話が

人事ではありませんでした。


このままじゃいけない、と強く思ったのを覚えています。

知るための努力を惜しんではいけない、と思いました。


昨日の記事にも書きましたが、その後イギリスへ留学したのですが、

この平和学の授業、この時の先生の言葉が、専攻を決めたきっかけとなりました。




話が前後しますが、私は大学を卒業後、留学する前に一度就職をしています。


平和学の授業に影響は受けたものの、それが自分の希望の仕事とはすぐに結びつかず、

以前から興味のあった福祉関係の仕事へ就きました。

「知的障害者授産施設」というところで、指導員として働きました。

しかしここは、施設の方針にどうしても納得できなかったことと、もっと現実的な問題として

体力的にどうしても続けることができず、情けない話ですが、一年足らずで退職しました。


ただ、ここでも「知るということ」や「想像力」ということについてはよく考えさせられました。

残念ながら、知的障がいを持っている方や自閉症の方たちに対して、世間ではまだまだ

知られていないこと、理解されていないことも多く、その理解のなさから、

障害を持っている方々や、そのご家族の方たちの心が傷つけられてしまうことも

多かったように思います・・・



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今日の記事のタイトル「世界はなぜ仲良くできないの?」というのは、

国際政治学者・竹中千春さん の本のタイトルです。

(竹中先生の旦那さんは、有名な国際政治学者の藤原帰一さん です)


たまたま地元の市民向けの講座で竹中先生の講義を聞く機会があり、その時に購入した本です。



「世界はなぜ仲良くできないの?」


「こどもたちのこんな質問に、あなたは答えられますか?」 (帯の言葉です)



この本では、なぜ世界では戦争がなくならず、多くの人が命を失い、

住む場所を奪われ、苦しい生活をさせられているのか・・・

どのようにすれば「暴力の連鎖」が解けるのか・・・

私たちはそのために何を知り、考えればいいのか・・・

などということが、とても親切に丁寧に説明されています。


専門的な内容も含まれているけれど、それもとてもわかりやすく説明されていて、

私は、「そういうことだったのか・・・」と多くのことを学びました。


印象的だったところを少しだけまとめてみたいと思います。

   

   現代世界の暴力の連鎖を解く鍵は、

   多くの人々が、「あ、痛い」と感じる力によって他人の痛みを共有し、

   安全と危険や豊かさと貧しさの格差を超え、さらに国境を越えて、

   仲間意識を作ることができるかどうか


   暴力は基本的に弱いものいじめ

   いじめることができる強い者を、誰が止めるかが問題


   いじめの周囲で、その状況を知り、介入していく人々のほうが

   救済と解決のきっかけを作る責任を持っている


   そして、世界で起こっている暴力も同じで、直接その暴力に関わっている国よりも、

   その外にいる国や組織の人々が、暴力停止へのきっかけを作る力と責任を持っている


   だから、安全で豊かな日本に住む私たちが、きちんとそういう問題に向き合って

   解決するために考えなくてはいけないのだ・・・

   それはその(暴力が起きている)国の人々の運命に関わる

   それを自覚することが大切なのだ



国際政治というと、なんとなく自分とはかけ離れているように思うことも多いけど、

こうやって考えてみると、なぜ自分たちが世界の平和やその構築を考えなくてはいけないのか、

見えてくる気がします。


最後に、この本に紹介されていたインドの人権活動家のラージモーハン・ガンディーさんの

言葉を記したいと思います。(ラージモーハンさんは、マハートマ・ガンディーの孫の一人だそうです)



      貧富・宗教・民族を巡って分断され対立する人々の間に、

      対話と和解という架け橋を築こう

      テロで父を亡くしたニューヨークの子供と、

      戦争で足を失ったアフガンの子供が心を通わせられるか

      人類の未来は、その可能性にかかっている




世界はなぜ仲良くできないの?―暴力の連鎖を解くために/竹中 千春



イギリスの記事から、ちょっと話がとんでしまいました汗


あまりブログに書くようなことではないかなぁ、と思っていたのですが、

(このブログのジャンルは「住まい・暮らし」だし・・・)

自分が普段考えていることでもあるので、書いてみました。


明日からはまた、今までのように、日々のこと、旅のことなどなど・・・

を書いていきたいと思いますにぱっ☆