中学に上がり、毎日バスケをした。



ただ、夢中でボールを追いかけた。



だけど、一回も試合には見に来ない両親。



私は、みんながお弁当を開いている中。



コンビニのお弁当を広げる。



顧問『そんなんじゃ、栄養取れないから作ってもらいなさい。』



キング『そ、そうですね。』



それから、お弁当がいる時は自分で作った。



不細工で、汚い、私の初めてのお弁当は…みんなの前では広げられなかった。



一人、部室にこもりながら食べた。



虚しさでいっぱいで、拳をにぎりしめた。



手には、その痕が残る。




部活の帰り、私は高級車とか、やくざとか、全く無知だった。



興味がなかったからかもしれない。



自転車に、乗って家に帰る時に、車に自分からぶつかってしまった。



一瞬、何が起きたのかわからなくて、こけた私に二人の男が話しかけてきた。



『お前、なにしてくれとんや!』



私はただ、立ち尽くしていると、もう一人の男が話しかけてきた。



『お嬢さん、大丈夫か?』



キング『大丈夫です。すみません。』



顔を見てみると、凄くいかつい。



『怪我はないか?』



キング『はい。』



もう一人の男が『どうします?親よびましょーか?金払ってもらわないと。』



金か…。私、父親に殺されるかもな…。



そんな事を考えて私は



キング『親には、いわないで下さい。殺されるから。お金なら、働いて返すから。』



今思えば、何いってるんだ?って思うけど、その時にはそれが正しいって思ってた。



『お嬢さん、なんかわからんけど、親が怖いのか?』


キング『こ、怖い。』



『おじさん達のほうが、怖いわけじゃないんだな?』



キング『おじさん達に殺されるほうが、私には怖くないよ。』



その言葉に、男は大笑いした。



『そうか、そうか。お嬢さん、かなり苦労してるんだな?よかったら、話してくれないか?』



そういって、私は起き上がり、近くに腰を下ろしてたくさん話した。



両親の事、事細かに。



男は、私の話を眉間にシワを寄せながら聞いてくれた。



誰かに話す事は、初めてだった。



こんなに、事細かに話した事はなかったから。



いつの間にか、辺りは真っ暗になっていた。



男『さぁ、そろそろ帰らないといけないな。』



キング『待って、お金払うから、住所教えて下さい。』



男『わかった。だけど、お金はいらない。お嬢さんが淋しい時、愚痴をいいたいときに、家に来なさい。わかった?』



びっくりした。



初めて、会ったばかりの私をこんなに優しくしてくれて。



器が大きいにも、ほどがある。



私は、何度も、何度も遊びに行った。



その度に優しく聞いてくれたり、いろいろな、現状の裏側も教えてくれた。



夜の街に連れていってくれた。



それが、やくざだと知ったのは高校になった時だった。




だけど、私にはやくざとか、そんなのは関係ない。



ただ、唯一私の存在を認めてくれた大人だった。



あの人がいたから、あの時を乗り越えられた。



本当に、私は…いつも誰かに助けられてる。



ありがとう。



本当に、私の親代わりになってくれて。



ダメな時は、叱ってくれた。



100点取ったら、褒めてくれた。



頭を撫でてくれた。



私がしてほしかった事。



たくさん、してくれたお父さん。



勝手にお父さんにしてごめんね。



けど、本当にお父さんみたいだった。



優しくて、大きな声で。



私には、優しい顔で笑ってくれた。



大事な事、たくさん知ったのはお父さんのおかげだよ。



大好きな、もう一人のお父さん。



私は、あなたの家に生まれたかった。



ありがとう。



それからも、いまでもたまに連絡している。



連絡したら、笑って話を聞いてくれる。



今も昔も、私には大切な人です。



父親は、パチンコで負けると、家電や、私たちにあたっていた。



新しく買った、テレビでも、ビデオでも…。



タンスでも、机でも…。



何もかも、庭に捨てた。



その、捨てる時の音の大きさに、私は体のそこから震えが止まらなかった。



少しでも気に入らない態度を取るものなら…。



頭の形が変わるほど、殴られ、蹴られた。



顔だけは、学校にバレるから…。されたことはなかった。



私は最初は、大泣きだった。



うるさいからと言って、また殴られる。



今度は、睨むようになった。



気に入らないと、余計に殴られた。



最後は、笑ってた。



感情が無くなってしまったんだろう。



気持ち悪いと、殴られなくなった。



殴られて、笑うなんて。



自分でも、おかしいとわかってるのに…。



どうにかして、逃げていた結果だったのかもしれない。



寒い中、気に入らないといわれ、後ろに手を縛れた状態で、電柱に吊された。



靴も、靴下もはいていない私の冷たい足。



泣きもしないで、前だけを見ていた。



雪がちらつく中。



私の体が悲鳴をあげた。



肩が、両肩脱臼したのだ。



あの時の音は、今でも思い出す。



激痛に、大泣きした…。



その声に、近所の人が出て来て、私を下ろしてくれた。



そのまま、救急車に乗せられて私は病院に行った。



両親は、ついて来なくて、近所の人が付き添ってくれてた。



父親は、私が死んでいいと吐き捨てて、近所の方を突き放したらしい。



そんな事を聞きながら、私は意識もうろうとしていた。



私には、両親はいない。



この時、私は決めた。



もう、両親は死んだんだと。



今、いる家族は…偽物なんだと。





その時の脱臼が、原因で…私は脱臼が癖になった。







月日は立ち、私の身長でもトイレから入る事が出来るようになっていた。



何故か、父親はトイレからは怒らなかった。



温かい、部屋の中。



だけど、何故かな?



部屋の中でも、外でも淋しさは誰も救ってはくれなかった。



私の体は、小学時代と中学時代、身長は普通なのに、体重は、激ヤセに部類されていた。



ろくに、食べ物を貰えてなかったからだ。



小学生の時のあだ名は、宇宙人だった。



家庭内暴力をうける子供は極度に痩せている。



誰か近くにいたら、優しくしてあげてほしい。



小学生の時、私は毎日ランドセルの中にハサミと、カッターを入れていた。



別に誰かを、傷つけるためでも、自分を傷つけるためでもない。



何でかわからないけど、それで私の心は平然を保っていた。



本当に、変な小学生だったはず。



家庭訪問に、親がいない。



母親は、パチンコで外出。



約束を無視する、母親。



先生は、学校に母親を呼ぶのだが、母親はやはり来なかった。



先生『なんか、困ってる事はないのか?』



キング『何もないですよ(笑)変わってる親なだけです(笑)』



先生『なら、いいのだが…。』



先生、ごめんね。



心配かけてしまっているのもわかってる。



薄々、先生も感づいているよね?その通りだよ。



けど、わからない振りをしてくれてありがとう。



先生にも、父親に怒鳴られないか不安で、何も言えなかったんだ。



先生『あんまり、無理しないようにな?なんかあったら、いつでも言いにきなさい。』



先生、優しくしないで。



優しくされたら、仮面が壊れて泣き出すじゃない。



もっと、冷たくしてて、それなら私は堪えられるから。



だけど、優しいと…何でこんなに脆く崩れそうになるんだろう?



愛情に飢えているからかな?



悲しいね。



けど、ありがとう。



私は無事に小学校を卒業した。