※付き合ってる設定
美羽side
久しぶりに髪がサラサラと梳かれてる気がして意識が浮上した。
忙しい夏鈴さんを待たずにベッドに潜り込んだ、昨日の夜。
心地よい彼女の体温と、匂いに包まれている、今。
幸せだ、そう思うと目を開けるのはもう少ししてからにしようと思った。
もうすこし、もうすこしだけ彼女を感じたくて、目を瞑ったまま彼女の胸にすり寄った。
トクトク、と彼女の鼓動を感じるほどに近づけば、彼女のふふっと優しい笑い声が小さく聴こえた。
私の髪を梳く手は止まることなく優しく動き続ける。
「みう、おきとるやろ」
2人きりの時に聞ける彼女の軽い関西弁はすぅっと胸にしみて心がぽかぽかする。
1週間ぶりだろうか、こういう朝を迎えられたのは。
「…おきてない…」
目を瞑ったまま小さく告げる。まだこの幸せを逃したくない。
「ふふ、おきとらんか…みう、髪さらさらやね」
誰も聞いたことないやろ、ってぐらい甘ったるい声に優越感を感じる。
「みうー、すき」
急な彼女の愛の言葉は何度聞いてもむず痒くて、恥ずかしくて、彼女の胸に頭を擦り付けてしまう。
「んふふ、みう、すきだよ、すき、だいすき」
嬉しそうに彼女が静かに笑い、甘い言葉を続けられ、恥ずかしくてたまらない。たまらなくなってぎゅっと彼女の服を握りしめた。
「あーれ、みうさん、おきてるじゃない、ふふふ」
もう最初から気付いてたじゃん、なんていつものように照れ隠ししようかと思った最中、軽く身体を剥がされ、髪を梳いていた手にぎゅっと力が入ったのが分かった。
離なされていったぬくもりの代わりに、おでこにチュッと暖かく柔らかいものが押し付けられた。
カーッと熱くなってく顔に、身体に、バレバレの狸寝入りは終わりをつげた。
「ちょかりんさ…」
「おはよう、みう、ふふふ、かわいい、耳真っ赤」
「…うるさいです……」
結局悪態をつくも、彼女の甘い声に、匂いに、言葉に、溶かされ包まれ、今、全世界で私が1番幸せなんやないか、と錯覚するほどだ。
幸せ過ぎることを自分への理由にして、静かに笑い続ける彼女の口に、お返ししてやった。
むぎゅっと押し付けた私の色気の無いキスに、彼女は一瞬驚き目を見開いて、すぐに雪崩れた笑顔を見せた。
「…みう~!もう、かわいい、幸せすぎ」
悶えたような彼女の声に、してやったり、と口角が勝手に上がる。
ついでに伝えてやろう。
「…わたしのほうが幸せにきまってる」
end
夏鈴ちゃん、2人っきりだと全て思ったこと言葉に出してそうで好きです