前回の続きを書きたいと思いますが、よく考えるとこれまでに2回関連する内容の記事を書いていたようです。そちらについてもご関心があればご覧ください。⇒書籍翻訳について書籍の翻訳

 

内容的に重複する部分もあるかと思いますが、それも含め続きを書かせていただきます。

 

とにかく、こうして「翻訳協力者」としてではありますが、小さく名前が出て献本(3冊)が届いた時には本当によかったなと安堵したものです。

 

翻訳に要した期間は、途中他の短期案件もこなしていましたので、実質約4カ月ほどでしたが、いろいろ苦労はありました。

 

まず、著者のエレナ・ダナーンさんがフランス人のせいか、やはり英語に少々癖があるのです。というか、文法やスぺリング等で細かなミスが結構ありました。

 

事情に明るくない方はご存じないかもしれませんが、書籍に限らず仕事で翻訳(英→日)をしていると完ぺきな文章ばかりとは限らずいろいろ考えないといけない場面が出てくることも多いのです。

 

企業向けの翻訳案件の場合、使用する語彙(役職や業界の専門用語)に対して定訳が指定される場合も多く(その場合、語彙リストが送られてくることが多いです)、必ずそれに従わないといけないということもあります。

 

今回の書籍翻訳に関しては、「一般の読者に対して読みやすい表現」をという要望があり、適宜意訳したり補ったりしてもらっていいとのことでしたが、その匙加減も当初はなかなかうまくつまめず、苦労しました。

 

あと、著者の専門がエジプト考古学者で錬金術師としての資格(日本にはないのでしょうが)を持っていらっしゃるとのことで、エジプトの地名や固有名詞が頻出し、また錬金術関連の用語も出てきます。

 

それと、著者の体験から宇宙人の種族の名前もたくさん出てきますし、物理学的な知識なども結構な割合入っています。

 

翻訳(英→日)は英語が第一と考えられる方も多いと思いますが、そして、もちろん私自身も英語に関してはそれなりの知見を持っているつもりですが、そこへ日本語の表現力や調査能力、人としてのこれまでの経験値等、総合力が求められるものだと思います。

 

何だか漠然として言い方ですみませんが、そういうことなのです。

 

まあ、こうしてなんとか約4カ月で納品し、私の手元を離れたのですが、実際に出版された書籍を見て思ったのは、案外私の訳した文章がそのまま採用されている部分も多いのだということでした。ただ、もちろん細かな部分では修正は随所に加えられてはいます。

 

すべてではないですが、そうした部分と自分の訳を比較検討して次回に生かせるよう学習もしました。出版社の方々や訳者の佐野さんにはとても良い経験をさせていただいたと感謝しています。

 

次回は2作目についてお話していきたいと思います。

 

今日は長々とお付き合い下さりありがとうございました。

 

では、また。