秋と冬の間、すぐに終わりがくる心地の良い気温をくだらないマンションのバルコニーで感じていた。


電車と踏切の音、自動車とバイクの騒音が少しの肌寒さと共に身体に響く。


外はまだ18時にもなっていないのに、

月が高く登り、暗い遠くの方から伊丹空港に向かう飛行機の光が一定の間隔でマンションの上を超えていく。


周りの汚い建物の群れのせいで、その光はぼんやり燻んでいる。


飛行機から見たら、ここも少しはましに見えたんだけど、実際の細部までが綺麗であることは稀である。


じっと眺めていたいものなんて、なおさら僕には稀な存在である。



僕は気付いたら太陽の西にたどり着いた。

僕はそこで全てが終わるかもしれないと思っていったが、終わらなかった。


ただ、普通に太陽の西より生還して、

普通に体調を崩していた。


それは今まで経験した別れの中で、僕が感じたことのないものだった。


別れなのに悲しくなくて、二度と生きて会えないかもしれないのに寂しくはない。


それでも軽々しい感じがなくて、なんとなく温い優しいものだった。


結局は僕自身が全てを終わらせるほどの度胸が無かったことを見抜かれていただけかもしれない。


全てが終わるだろうと思っていた僕に、

「生きろよ」と言われたのにもかかわらず、

暗にお前の方がちゃんと生きろと上手く帰されたみたいだ。


身体はまだ重たいけど、心は異常に軽く感じる。


ソラニンの最後の歌詞みたいだ。