甲子園球児のMyself -8ページ目
実に寒い夜だった
貨物列車の通りすぎる音がした
これが最後と腹に決め
26のたくらみから足を洗った
新聞配達の自転車の音がした
酒の飲めたい俺は食パンを
かじった錆びた10円玉を
ひっくりかえし「ついてねえや」
とやぶにらみした 明け方の東京
生き恥をさらしても
裏街道はまっぴらさ ゴメンヨと
侘びをいれ お前住む街へ
ひっかえす 東中野の駅前に
ああ 突っ立ったまんま
電信柱にひっかけた夢
未練たらたら ひっかけた夢
浜松町から羽田に向かった
公衆電話から奴に電話した
握りしめた受話器の向こうで
「頑張れや」って奴が泣いた
抜き差しならねぇ街だった
危うく俺の背骨をぬかれる
とこだった 性に合わねぇから
家に帰るだけさと ふてくされた
顔で 精一杯の負け惜しみ
俺だって あの日の海を死ぬまで
泳ぎ切るつもりさ あぶく銭に
うもれて一生 男なんか演りたくねぇ
あの時の電信柱にひっかけた
くやしさと諦めが
俺の胸をたたきやがる たらたらと
胸をたたきやがる
俺の胸をたたきやがる たらたらと
胸をたたきやがる
俺の背中で 力果てた
お前の指がすべりおち
ゆっくりとゆっくりと
シェードランプに灯をともす
白い肌が悲しいほどに
シーツに溶けてく
お前の顔 ひきよせて
そっと 口づけた
俺は今 月が落ちた波打ち際に立ち
愛する覚悟を一歩ずつふみしめてる
「嘘だろう?」って あの時
聞けなかったのは 互いの寂しさを
わかってたからだ
夜の海に俺の過去を沈めたら
明日からお前と二人で生きよう
身動きすると
逃げてくように
お前は震えた 乱れた髪
俺の両手で 強く受け止めた
にぎりしめた二つの罪
素っ裸の胸に抱き
23Fホテルの部屋
苦しい夜が降ってた
俺は今 月が落ちた波打ち際に立ち
愛される覚悟を一歩ずつ
ふみしめてるこなごなに砕け散る
波のしぶきが舞い あの時の俺の
ずるさに突き刺さる
夜の海に俺の過去を沈めたら
明日からお前と二人で生きよう
夜の海に俺の過去を沈めたら
明日からお前と二人で生きよう
もしも も一度逢えるならば
父ちゃんに やっぱり逢いたい
あの日のでっかい背中にしがみつき
おもいっきり 甘えてみたい
幼い俺を父ちゃんはバイクに乗せて
宮ケ浜に いつも連れてってくれた
浜の西に沈む夕陽が赤く揺れていて
海よりも限りなく 優しかった
俺の父ちゃん ただ生きていて
くれるだけで 本当は 本当は
よかった 俺の父ちゃん 最後の
最後まで俺の名を呼んでくれたよね
俺は今 国道3号線をとばし
東シナ海を左に見て山並ハイウエイ
米野津川を渡り 記憶をたどれば
出水 高尾野の原野に 雪が降る
父ちゃん 綺麗だなぁ
1万5000羽の 鶴の群れたちが
シベリアから飛んできたよ
父ちゃん 綺麗だなぁ
雪降る空から 今天使のように
一勢に舞い降りているよ
もしも も一度逢えるならば
父ちゃんに やっぱり逢いたい
澄みわたる 冷たい風の中で
おもいっきり あたためて欲しい
さらに高尾野の原野に降り積もる
しんしんとしんしんと雪が降る
白銀の空から舞い降りて来る鶴よ
お前の命の叫びが うれしい!
俺の父ちゃん ただ生きていて
くれるだけで 本当は 本当は
よかった 俺の父ちゃん 最後の
最後まで俺の名を呼んでくれたよね
大切な人と もう二度と会えなく
なったけど これ以上もう泣くのは
止めちまおう この世で一番 俺を
愛してくれたから ずっとずっと
俺の心に住みついているから
父ちゃん綺麗だなぁ
1万5000羽の 鶴の群れたちが
シベリアから飛んできたよ
父ちゃん綺麗だなぁ
雪降る空から 今天使のように
一勢に舞い降りているよ

