津屋崎の国民宿舎は、

子供の頃、たまに泳ぎに来たプールもあって

(今は使われていないらしい)

ロビーに展示された貝殻の数々といい、階段踊り場の油絵といい、

(隣接する水産実験所の調査船の船長画伯によるものらしい)

広い芝生の庭といい、生簀から揚げたばかりの新鮮な魚料理といい、

どれも好ましいのだが、玄関脇の蘇鉄の株も実に見事だ。


あの日の僕は、子供たちや姪や甥たちに、蘇鉄の朱色の実を見せたくて

トゲトゲする葉っぱを除けながら、一生懸命に蘇鉄の実を取ったんだ。

蘇鉄にはオスとメスがある(銀杏と一緒だね)ことや、

蘇鉄にはハブが生息していることが多い

(奄美大島、加計呂麻島、請島、与路島、徳之島)

ので、気をつけないといけないこと、なんかを話しながらね。


ちょっとぱらついた雨も気にせず、もっとほしいと言うから、

一生懸命、国民宿舎の花壇に入って、蘇鉄の朱色の実を、たくさん、ね。

君(娘)も姪っ子も甥っ子も、みんなとても喜んでくれた。

おじさん、嬉しいんだよ~、こーゆーの。


そうこうして、たくさん採った朱色の実。

自宅に帰ってきて一晩明けると、「もう、要らん」と言って、

何のためらいも、惜しげもなく、ゴミ箱に捨てるの、やめてくんない?


お父さん、ちょっと、ショックだなぁ~。

..まぁ、いいけどさぁ..

君って、あっさりしてるんだね..