7月12日付の読売新聞夕刊に、鎌倉の観光施策にも参考となる

以下の記事を見つけました。

 

「価格は、需要と供給のバランスで決まる」という考え方に基づけば、

2重価格が外国からの観光客にも「納得できる」なら、成立することになります。

 

その際、昨今の「円安(対ドルに留まりません)」によって、多くの国から

日本へ来ると為替換算した際の「購買力」に余裕が生まれることも、

要素として考える必要があります。

 

「米国・NYでは、ラーメンが3,000円ぐらいする」そうなので、

本場日本で同じ程度の値段でも違和感は少ないでしょうが、

日本の庶民感覚では「1,000円~1,300円ぐらいかな」というところでしょうか。。

 

外国人観光客に合わせると、日本人にとっては高すぎて旅行意欲も削がれます。

かといって、日本価格で観光客に提供するのも、正当な利益の機会損失。

一方、何の理由もなく日本人とか外国人観光客で価格を分ければ「不公平」と

なってしまうこの問題、実に悩ましいですね。

 

下にも引用した本記事では、飲食店では外国語を使いこなせる

接客スタッフを用意する等の特別対応に人件費がかかることが挙げられています。

これは納得感が高いですね。せっかく日本に来て本場の料理を食べてもらうなら

それにふさわしい食べ方で楽しんでもらうことは大切なので、そのサポートに

コストを転嫁するのは、受け入れやすいのではないでしょうか?

 

鎌倉には観光ガイドの方もたくさんいるので、そういう方々にスキルを

いかんなく発揮していただくことができそうです。

 

タージ・マハール(インド)やルーブル美術館(フランス)などの

飲食店以外の施設でも、現地の人と観光客で入場料に大きな差があるそうです。

これは、「差別」ではなく、「区別」ですね。

   ↑読売新聞の記事中資料

 

こうした施策を実施して観光収入が増えれば、「サステナブルな利益」を

継続的に稼ぐ道が開けそうですね。

 

東水会 自治会長 

菅野 哲央

 

~~~~~~~~~~ 以下、同紙のサイトよりそのまま引用 ~~~~~~~~~

訪日客向け「二重価格」、導入の飲食店「接客にコスト」…台湾からの客「たいした金額差ではない」

7/12(金) 16:01配信

 

コロナ禍が収まり、全国各地の観光地や飲食店はインバウンド(訪日外国人客)需要で活況を取り戻している。歴史的な円安などで、訪日客にとっては買い物にもサービスにも「割安感」が漂う中、一部では、国内客よりも高い料金を取る「二重価格」を設定する動きも。専門家は「『外国人だけ』という理由付けを明確に示す必要がある」と指摘している。(高田結奈、石間亜希)

 

訪日客が行き交う東京・渋谷。今年4月にオープンした飲食店「海鮮バイキング&浜焼きBBQ 玉手箱」では、台湾から訪れた男性(32)が、男性スタッフから食材の食べ方について英語で説明を受けると、自らテーブルのコンロでホタテを焼き、サーモンの刺し身をほおばった。同店は、マグロやいくらなど約60品の食べ放題コースを、男性の外国人客には平日ランチで税込み7678円(ディナー8778円)で提供。日本人と国内在住者には、そこから1100円を割り引く事実上の「二重価格」を導入している。

SNSの動画で同店を知ったという男性。「たいした金額の差ではないので気にはならない」と話し、「日本で食べるのはおいしい。店員の対応も良い」と満足した様子だった。

同店では、入店時に日本語が話せるかどうかや在留カードの有無を確認し、外国人客かどうかを判断しているという。2割弱を外国人客が占めるため、4、5人の店員のうち必ず1人は英語が話せるスタッフを配置し、ビュッフェ台に載った食材の取り方や焼き方などを説明する。経営する米満尚悟社長(39)は「接客にかかるコストや時間で人件費が上昇することを踏まえると、価格差をつけざるを得ない」と話す

 

◆4倍値上げ検討

昨年度、過去最高の約45万人の外国人観光客が訪れた世界遺産・姫路城。その入場料(18歳以上1000円)を巡って、兵庫県姫路市が訪日客に限り4倍程度の値上げを検討すると表明し、波紋を広げている。「外国の人は30ドル払ってもらい、市民は5ドルくらいにしたい」。同市の清元秀泰市長は6月16日に市内であった国際会議で、値上げを検討する意向を示した。30ドルは現在、4000円台後半に相当する。瓦や漆喰(しっくい)の技術を継承する人材育成など城の維持・管理費用の捻出が目的だとし、清元市長は同17日の記者会見で「外国人向けの料金設定は、グローバルスタンダードだ」と理解を求めた。

 

著名な施設で外国人向けの料金を設定すること自体は、海外では珍しくない。

各施設のサイトなどによると、インドのタージ・マハルの入場料は外国人が約2100円で、インド人の20倍以上。フランスのルーブル美術館は入場料約3800円(18歳未満無料)で、EU圏などに住む18~25歳は無料となる。文化庁や消費者庁によると、日本でも施設の設置者の判断で、日本人と外国人で二重の価格を設定することは可能だが、国内で導入している公の施設は把握していないという。

 

首長の賛否は分かれている。大阪城がある大阪市の横山英幸市長は「現時点ですぐ取り入れるわけではないが、選択肢としては検討しなければならない」と述べた。一方、京都府の西脇隆俊知事は6月27日の記者会見で「理由なく差をつけるのは難しい」と慎重な姿勢。名古屋城のある名古屋市の河村たかし市長は今月1日の会見で「外国人の皆さんに感じが悪い。(二重価格は)考えていない」と否定した。

 

明確な理由 必要

大東文化大学の塚本正文教授(観光政策)の話「円安や賃上げの不十分さで、訪日客と日本人客の購買力格差は広がっており、民間企業にとって二重価格の導入は自然のなりゆきと言える。ただ、営利目的ではない自治体の観光施設にはそぐわず、外国人だけを対象にする明確な理由が求められる」

 

費用負担 議論を

観光経済に詳しい藤山光雄・日本総合研究所主任研究員の話「政府は2030年に6000万人の外国人観光客を目指しており、各施設では今後、外国語の掲示や案内人材などの費用が増える。こうした負担をどうするか、地域で幅広い議論が必要だ。施設を訪れる外国人に『これに使う』と根拠を明示すれば、多少の値上げは選択肢としてはある」