仕事柄(本業の方)、「ブランド」に関することをよく考えます。

今朝、メディアのスポーツニュースで、大谷祥平選手の母校 花巻東高校を

今年卒業する 林麒太郎選手が、スタンフォード大学に入学することになった

話題が報じられていました。

 

スポーツ選手ではテニスのジョン・マッケンロー、ゴルフのタイガー・ウッズ、

ビジネスの世界では、グーグル創始者のラリー・ペイジとセルゲイ・ブリン、

ネットフリックスのリード・ヘイスティングスとマーク・ランドルフなどを

輩出している大学です。

 

テレビ朝日の番組で、出演者の一人 廣津留すみれさん(コロンビア大学卒

バイオリニスト)が、「野球で突出しているだけでは選ばれない。

学業に加えて課外活動でも突出しているものがあるかを問われる」と

いう話をする中で、以下の様に、興味深いことを言っていました。

 

(高校生として140本のホームランを打っているという実績に加え)

「花巻東は大谷選手の母校です」というだけで、相手に母校の特徴や背景を

瞬時に伝えることができるのは、確かに大きかったでしょうね。

私の場合は、(コロンビア大入試で)自分の母校について色々説明する

必要がありましたから。」

 

メジャーリーグで2年連続MVPの大谷選手の母校といえば、

野球に関わる人にはすごいアピールになりますからね。

私は、「これが、ブランドの本質的な意味だな」と感じました。

広告宣伝費など一切出していないが、積み上げた実績で評価され、

信頼や愛着を持ってもらえる存在になった時、それを真の意味で

「ブランド」と呼びます。

 

ビジネスの会話では、「ブランドで売る」とか、「ブランドで差別化する」

ということをよく耳にしますが、信頼や愛着に裏付けられていない

ブランド(らしきもの)は、空虚なものです。

 

私の好きな経営学者で著書も多い楠木建さんが、「ブランディング」ではない。

「ブランディド(Branded)」が重要と述べています。Brandedとは

「結果」です。「信頼と愛着を積み重ねた結果がブランドである」

ということですね。

 

「良いものは売れる」という「根性論」と区別が必要ですが、

「顧客に役立つものは何であるか」を常に考え、軌道修正を繰り返しながら

進化しつづける組織が、やがて「ブランド」を手にすることができます。

花巻東高校の場合は企業とは異なり、優秀な卒業生たちが各界で

活躍を重ねることでブランドが築かれていくということになるので、

そうした環境づくりを継続的にしていくことがカギとなります。

 

小手先の「ブランディング」に走る会社や、それが商売繁盛の近道であるかの

ように喧伝する向きには、注意が必要ですね。

 

東水会 自治会長 

菅野 哲央