本日の読売新聞朝刊にあった以下の記事、後学のために重要かと

思いますので、コピペしておきました。

コピーライトは、読売新聞です。

 

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●被災の子どもを冷静に見守る…普段と違う行動でも無理に止めない

2024/01/12 05:00

 

大きな地震など災害に遭遇した子どもは、ショックで普段と違う様子を見せることがある。周囲の大人はどのように対応したらよいだろうか。専門家に聞いた。(野口季瑛、木引美穂)

 

 1日夕に能登半島地震が発生した際、新潟市に住む会社経営の男性(42)は自宅の居間にいた。震度5強の揺れで家具が転倒、食器棚からは皿が落ちて割れた。小学生の長女(8)と保育園に通う次女(5)はテーブルの下で泣き叫んでいた。夜になっても、次女は「わたし死ぬの?」と寝付けない。翌日も普段より姉妹げんかが多かった。男性は「次女から『死ぬ』という言葉を初めて聞き驚いた。今は落ち着いたが、影響がないか心配」と話す。被害の大きかった石川県では、11日午後2時現在、子どもを含む約2万4000人が避難所生活を送っている。

 被災者の心の問題に詳しい福島県立医科大教授(災害精神医学)の前田正治さんは「子どもは言葉でうまく気持ちを表現できない上、現状を理解し対処する能力も未熟だ。大きな災害を体験し、慣れない環境で生活するストレスが思わぬ症状や行動として表れることがある」と説明する。腹痛や不眠、指しゃぶりなどの症状が典型的。急に甘え出したり、地震や避難の様子を再現する「ごっこ遊び」を始めたりすることもある。 普段と変わらず元気そうに見えても注意が必要だ。ストレスによって気分が高揚する子どもは多い。はしゃいだり、ボランティア活動に取り組んだりしていたのに、突然ふさぎ込むなど感情のコントロールがつかないことがある。

 文部科学省が2012年度、東日本大震災で被災した幼稚園児~高校生らを対象に行った調査によると、1割以上にPTSD(心的外傷後ストレス障害)に関連する症状があった。なかでも幼稚園児は3割と高く、「よく甘える」「以前1人でできていたことができない」などの様子が見られた。

 親や周囲の大人はどう対処したらよいだろうか。

 前田さんはまず「子どもの反応や行動を冷静に受け止め、見守って」と呼びかける。いつも以上にスキンシップを心がけると安心につながる。「地震ごっこ」など、好ましくないと思える行動も無理にやめさせない方がいい。ストレスをはき出すための一時的な行動であることが多いという。

 保護者にも休息が必要だ。気持ちに余裕がなければ、子どもに寄り添うのも難しい。「可能なら誰かに子どもを見てもらうなどして、少しでも休む時間を作ってほしい」と話す。

 

●ニュース映像、心に大きな負担

 地震の影響を受けていない地域の子どもも、被害を報じるテレビのニュース映像やSNSの動画でストレスを感じる場合があり、注意したい。

 桜美林大准教授(臨床心理学)の池田美樹さんによると、災害や事故などの衝撃的な映像は、不意に見聞きすると心に大きな負担がかかる。また、視聴時間が長いほど、ストレス反応が大きくなる傾向がある。 このため、「ニュース映像を流しっぱなしにするなど、『ながら見』は避けて。ニュースは時間を決めて見ましょう」と助言する。スマートフォンなどは、利用できるSNSやアプリを制限するフィルタリングを設定しておくと安心だ。

 池田さんは「ストレスの軽減には、テレビやスマホから意識的に離れ、リラックスした時間を過ごすことが大切」と話している。

 

●被災した子どもに見られる症状や行動の例

 腹痛、 嘔吐(おうと) 、食欲不振、頭痛、チック、乱暴な言動、無反応、不眠、不機嫌、指しゃぶり、おねしょ、親から離れないなど甘える、「地震ごっこ」などをする(前田さんの話を基に作成)