東水会の会長は、自治会を構成する5つの組(平均20世帯程度)から

2年ごとに順番で選出するという輪番制を採用してきました。

もちろん、これは「立候補者がいない場合」ということですが、

ここ20年ぐらい立候補者は無く、輪番で会長が代わってきました。

 

私も2014-2015年度に「会長のなり手がなく、困っている」ということで

頼まれ、引き受けたことがありました。この2年間は、市内の街路灯を

蛍光灯からLED灯にかえるというプロジェクトがありましたが、

それ以外はなにも覚えていません(笑)。

 

2年間ルーティン(定型的な仕事)を粛々と回しただけだったので、

当然のことです。私の後に2人の自治会長が輪番で行いましたが、

ルーティンを回すだけでは、自治会の活動は先細りすることが見えてきて、

「このままでは、東水会は早晩、存在意義がなくなる」と感じました。

 

これは「輪番制」が悪いのではなく、その使い方が間違っているのです。

輪番制は、「私が引き受けましょう」と言い出す人がいる状況で機能する

やり方ですが、近年の東水会は会長のなり手がない中、押し付け合うための

道具に成り下がってしまってました。

 

私は、「この悪循環を断ち切ったら、どうなるか見てみたい」と思いました。

それが、昨年(2020年度)から再び会長を引き受けた理由です。

奉仕の精神とか、地域に恩返しするためといった「根性論」ではなく、

仮説アプローチによって問題点を見つけ出し、解決策を考えて実行することで、

どう変わるか、見てみたくなったのです。

 

このブログでもご紹介したように、いくつかの新しい試みを行ってきました。

特に、組当番の方々の業務から「やらされ仕事」を極力省き、負担の軽減と

業務内容の簡素化を進めました。「やらされ仕事」を少なくした分、

「やりたい仕事」で貢献していただける状態を目指すためです。

 

自治会活動がまだ活発化してないので、「やりたい仕事」といっても

ポンポンと出てくるような状況ではありませんが、じっくりと

PDCA(Plan-Do-Check-Action:経営理論の手法の一つ)を回して

行くつもりです。

 

私は、現役会社員なので、(コロナ禍で在宅勤務状況下ではあっても)

勤務先の業務をこなしながら自治会運営を行うのに、チームの助けが必要です。

幸いにも、今はユニークな特技を持ったメンバーたちに恵まれています。

自治会役員や組当番の皆さんが、根性論や精神論ではなく、「やってみたいから」と

思って運営に関わっていただけるような環境をつくり、できるだけ効率的に楽しく、

携わっていただけるようにしたいと考えています。

 

お年寄りを遠目から見守ったり、クリーンステーションやゴミ捨ての悩み事、

ご近所同士の問題など、昔だったら自治会がうまく処理していたようなことが、

ややもすると、「それは市役所や福祉協会がやるべき。自治会の仕事じゃない」

となってしまいがちです。

 

それも理解できなくはないですが、これでは市の職員は忙しくなる一方です。

その結果、本来もっとエネルギーを割くべき政策や業務に十分な力を注げず、

市民サービスに支障を来すことになりかねません。

本当に市役所がやらねければならないことは、きちんと言いますが、

自治会で片付けられるものは、サクサクっと処理するからこそ、

手に負えないものは市役所に頼る「意味」が生じるのです。

 

「あんまり私が頑張りすぎると、それが当然になってしまって、

次の人のハードルが高くなる」という心配を、時々耳にしますが、

私が「脱根性論」と書いたのは、まさにこのポイントです。

根性論でやっていては、色々試したことからの「学び」が個人に閉じて

しまい、「仕組み」として共有され、組織に根付くことがありません。

 

私は、仮説アプローチによって、うまくいくことが分かった仕組みを

チームで共有し、根付かせていきたいと考えています。

 

そうすることで、次に会長になってくれる方が、気負うことなく自身の

スタイルで運営できるようになるでしょう。

 

東水会 自治会長 

菅野 哲央