福島県 下郷町『大内宿』は、昔々にタイムトリップできる場所として国内外から人気の観光スポット。
江戸時代よりも、もっと、もっと、古い、平安時代後期。
オフィシャルな歴史では、高倉宮 以仁王はクーデターに失敗して亡くなったとされる。
でも、『大内宿』に伝わる歴史では、以仁王と家来は密かに逃げ延び、この地で再起を図ったとされる。
ここで土鈴「グヒン様」を購入。
「グヒン様」は、誰も見たことがない神様で、擬人化された彫刻、絵などはまったく残っていない。
「グヒン様」を調べていくと、星の名前に「グヒン星(狗賓・天狗)」を発見……!!
『大内宿』で購入した昭和レトロなお猪口。
『大内』の名前入りで、絵柄も「天狗」。
日本国内の星座の方言を集めた、野尻抱影さんの本によると「グヒン星」は二種類ある。
「アークトゥルス」「流星・彗星」。
和名星座は、地域・職業などによって呼び名が変わるため、統一されたものがない。
また、今ではどの星を意味するのかも分からないものもある。
グヒンボシ(狗賓星)=アークトゥルス
狗賓は、天狗。
オレンジ色に輝く「アークトゥルス」を、赤い顔の天狗と表現したもの。
「グヒンボシ(狗賓星)」は、西美濃地方(岐阜県武儀郡洞戸村)でみつかった星の名前。
山深いこの地域では、大木がめりめりと倒れるような原因不明の大音響が鳴り響く。この自然現象を天狗倒し、天狗の羽音という。
天狗星=流星・彗星
流星・彗星は、大きな音で落下する時がある。
この天文現象を天狗の叫び声と表現したものが「天狗星」。
もしかしたら……星が落下する時の尾の部分を、天狗の長い鼻にたとえたのかも?
中国では、流星をさまざまな種類に分類し、声を発するものを「天狗」、声のないものを「狂夫」と呼んだ。
また、日本の古書でも流星を「天狗星」「奔星」と呼んだとある。
『大内宿』の「グヒン様」は、誰も見たことがない神様。
福島県に元々いらっしゃった「グヒン様=天狗」……?
以仁王ゆかりの、京の都に伝わる「グヒン様=天狗」……?
美濃地方にルーツをもつ人々と共にやって来た「グヒン様=天狗」……?
いったい、どれが「グヒン様」なのかしら?
私の結論として。
『大内宿』の夏祭りには「天狗さま」が参加する。
そのため、皆さん「天狗=グヒン様」は見たことがある、ということになる。
誰も見たことがない神様設定なので、春から秋に見える星・アークトゥルスは、この地域の「グヒン様」ではない。
なので、叫び声をあげながら夜空に消える「流星・彗星がグヒン様」であると、私は考える。
でも、神様の出身地はまだまだ分からない。
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《参考資料》
※星座表=郡山市・ふれあい科学館
※彗星写真=田村市・星の村天文台、ポストカード。
※『雲根志』(個人所有、アンティークのもの)
※『日本の星 星の方言集』野尻抱影 著・中公文庫