ヒロN式! -119ページ目

ヒロN式!

「メイド喫茶元オーナーが書いた女の子の取扱い説明書」
の著者・ヒロNが綴る毎日のよしなしごとです。

第35話「ロング・トール・サリー」


ヒロN式!



彼の眼の前にタンブラーがあった。

それは暗い照明の中で心地よい汗をかいていた。

砕いた氷と透明なジンがグラスに七分。それにレモンの絞り汁だけのドライキャット

だったが、それが彼の夏の大好物だった。

彼の隣には、白いイブニングを着た若いホステスがいた。

日に焼けた背の高い女で、歳を聞くと、「21です。」と答えた。

です、ですか、と彼が言うと、彼女は、目を細めて笑った。

彼と彼の友人は、全具で三人だった。

その三人に三人ついていたから、全部で幾らになるのだろう、と心配すると、

彼の友人は、今日は、他人の金で呑むから構わない、と言って笑った。

ホステスも入れた六人は、ひとつのボックスで、さまざまな格好でくつろいで、

車の話や海の話をした。仕事の話はしなかった。

三人ともプライベートな時間に仕事の話をするのは好きではなかった。

彼の隣のホステスは、海の話をしだすと、急に目を輝かせた。

彼がダイビングをしているというと、なんとなく興奮して、彼の肩の筋肉を

触ってみたりした。

そして、先週ハワイに行ってきたばかりだ、と言った。

きれいに焼けていると言うと、胸から下の焼き方を失敗した、と言って

はにかんで笑った。

それから、六人でハワイの話をした。

彼は、キャザリンの家があるヒロの話をした。

大した観光名所もないヒロの風景が彼は好きだった。

ヒロには、古い懐かしいハワイが残っている、と口に出して言った。



彼女のハンドバッグから小鳥のさえずりがした。

彼女は、ちょっと舌打ちをして、席を立った。

ハワイのお話、残しておいてね、と耳打ちして、ほの暗いフロアを歩いて行った。

背が高い彼女は、スタイルがよかった。

大きく開いたドレスの背中の筋肉がよく動いた。

彼は、彼女がいなくなり、多少手持ち無沙汰になった。

他の二人は、それぞれの女とそれぞれの話をしていた。

彼は、店の中に流れる音楽に耳を傾けながら、眼の前にタンブラーばかりに

手を伸ばした。

小柄なホステスが、ボックスに立ち寄り、彼のドライキャットのお替りを

作ってくれた

彼は、目の高さにタンブラーを上げた。

踊りましょう。と彼女は誘った。

踊れないけど、と彼は言いながら、席を立った。

二人は、フロアに出て、ダンスの渦に入った。

背中を手で押し、胸をつけると、彼女の香りが強くした。

脇をいろいろなカップルが過ぎるたび、さまざまな香りが行き過ぎた。

背の低い客と踊っている、さきほどの、背の高いホステスが通り過ぎた。

(痛!)二の腕に痛みが走った。

背の高いホステスが、彼を睨みつけていた。

ほんの一瞬のできごとだった。





第36話「リフレクション」



ヒロN式!

彼は、いつもより一時間遅く目を覚ました。

頭を振ると、ひどく重かった。

ベッドのコンポートから体温計を取り出し計ると三十九度熱があった。

彼は、ベッドの中から、局に欠勤の電話を入れた。薬は飲まなかった。

ブランディを飲んだら、すぐに眠りに落ちた。

熱に浮かされながら、しばらく眠った。

手慰みにかけたラジオが遠くの方から聴こえた。

奇妙につじつまの合わない短い夢を見て、目覚めると、昼の二時だった。

粘性の強い汗をかいていた。

頭はまだ重かった。


ラジオは、物憂げに、懐かしいハワイアンを流していた。

彼は、それをしばらく聴き、曲の切れ目で切った。


窓から射す太陽の光が、ベランダで跳ね返り、白い石膏ボードの天井に

不規則な模様を作っていた。彼は、それを眺め、深呼吸を何度もした。

天井に、息を吹きかけると、模様が揺らめくような気がした。

息を詰めて、耳を凝らすと、5階下の路上の喧騒が微かに聴こえてきた。

寝返りを打ち、横向きになり、枕に耳を当てた。自分の心臓の鼓動がした。




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インディーズアイドル。

ちょっと耳慣れない言葉ですが、

ネットアイドル、地下アイドル、

なんても言いますね。


僕は、広告業界にもいて、

サブカル系にもいて、

メジャーのプロダクションに

属さないで、独自の活動を

して、頑張っている女の子と

それを応援しているヒトたちと

いっぱい知り合いになりました。


実際、マスの方とインディーズの

方は、全く入り口が違うので、

インディーズの方は、大変。

客集めも何も皆苦労のしっぱなしです。

でも、皆、手弁当で頑張っているし、

中には、メジャーのタレント顔負けの

かわいい子、才能のある子も

いっぱいいるんですよ!


それを皆に知ってもらい、

もっと、インディーズを盛り上げて

ほしい。


そんな気持ちがあります。


メイド喫茶を閉めて、もう3年。


サブカル系の実業からは

引退してますが、

アイドルの子、アイドルを

応援して、ライブなどを

主催しているヒトと会うたび、

僕にも、なんか手伝えること

があればいいなあ、と

思っていました。


で、いろいろ考えて、

このグルッポをはじめてみました。


単に、ライブの告知、集客、

CDの企画募集、なんでも、

インディーズアイドルに

関することなら、このグルッポを

利用しちゃってください。


特定のアイドルを応援する

スレを立ててもらっても

構いません。


当面、そういうのがなくても、

なんか面白そうだな、

でも結構です。


プロのダクション、

制作会社さん、

メディアさんの

参加も大歓迎です。


ばらばらに動きがちな

インディーズの活動を

うまいこと協力して、

もっと盛り上げましょう。


きっと僕らでも、もっと

何かができるはずです。


 


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ゆえあって、火木土夜、ベッドに

縛りつけられて、テレビを見るしか

できることがない。

という時間帯がある。



普通、カタギのヒトは、仕事したり、

酒呑んだりして、上司の悪口とか

言ってる時間だ。

僕は、ベッドの上にいる。

いやなことだが、しょうがない。

これをやらないと死んでしまう。

まあ、これが生きるってことだ。



で、何が、楽しみかと言うと、

MXとかTVKとかで、昔のアニメの

再放送をやっていて、それを見るのが、

楽しいのだ。

メジャー地上波の方は、バラエティとか、

ぬるい番組ばかりなので、あまり面白くない。



改めて見直すと、すごく面白いのは、

「じゃりん子ちえ」。


ヒロN式!

これは、おもろい。

こんなおもろいアニメとは、

思わなかった。

この歳になって再発見。

だから、人生は、うっかり

やめられない。



それから、「うるせいやつら」

「美味しんぼ」と続くが、

「うるせいやつら」は、

すごく長寿だったんだなあ。

初期の頃と、後の方は、

全然、画もストーリーも違う。


ヒロN式!



そして、悩ましいのは、

この「うるせいやつら」

「美味しんぼ」の時間枠の

裏で、「巨人の星」が放送されて

いることだ。



「巨人の星」。


ヒロN式!

まだ、小学生だったな。

野球ばっかりしていたな。

当時から、思っていたけど、

なんか、変なストーリー。

でも、当時、クラスの皆が見ていた。



今、思うと、あのアニメで子供心に、

「運動部はしごかれる」「無理な特訓」

「うさぎとび」「先輩のいじめ」

などという先入観が無意識のうちに

刷り込まれていったような。

それがなければ、野球部に入っていたかも。



巨人の星の原作者は、梶原一騎先生。

別名・高森朝雄先生。


ヒロN式!
↑右のお方である。こわあ!

「巨人の星」だけではない

「あしたのジョー」、「愛と誠」もそうだった。

つまり、超人気原作者。

でも、あとで、マスコミにご本人が出てきた時は、

「このひとは、本物のあちらの業界の人」だと

思ったなあ。



やっぱり、この人の原作アニメは、どこか変だよ。


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第34話「ラプソディ・イン・ウォーター」



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暑くなっても、マンションの地下にあるプールは混む気配がなかった。

彼は昼間の仕事で疲れた身体を伸ばして、やや低めに水温を調整した

プールに仰向けに浮かんでいた。

天井の水銀灯がややまぶしくもあったが、それはそれで悪い気分ではなかった。

目を閉じると、水銀灯の残像が青とも紫ともつかないような不思議な色調で

まぶたの裏に現われた。

彼は、目を開いたり、つぶったりした。

ゆっくりとしたスタンダードジャズが低く流れ始めた。

プールのオーナーがかけたのだろう。



若い女が入ってきた。

今まで彼が一度も見たことのない女だった。

黒の競泳用の水着をつけた身体は日に焼けていて、小柄だったが、

なかなか均整がとれていた。

彼は、ゴーグル越しに彼女を眺めた。

彼女は、簡単に身体をほぐし、ゴーグルをつけ、いきなりプールに

飛び込んだ。

水しぶきが上がり、水を潜り抜ける彼女の頭が見え、やがて浮かんできた。

彼女は、見事なクロールで泳いだ。

彼はそれを見ていた。

上の使い方に癖があったが、それはそれで美しい。と思った。

彼女が百メートルを泳ぎきったところで、彼は、頭を水に潜らせて、スタートした。

両足で、水面を叩き、両腕を掻いて、水面に躍らせた。

彼は、バタフライで百メートルを泳いだ。

息を弾ませてプールの壁を叩くようにタッチすると、彼女は、

ゴーグルをつけたまま白い歯をみせていた。

「よかったら、バタフライを教えてください」

彼女はそう言った。

彼はうなずいた。

彼女は、30分ほどで、かなりうまくバタフライを泳げるようになった。

バタフライは、頭を潜らせた時に、お尻が水面に出る。

丸くきれいなお尻が水面に浮く度、彼は、ちょっとどきどきした。

バタフライを習得できて、彼女は、とても喜んだ。

ひとつの泳ぎができる人が別の泳ぎを覚えるのは、比較的簡単なのだ。



一緒にプールを出て、街でお茶を飲んだ。

彼女は自分の知っている店があるからそこに行こう、と言った。

彼は承知した。

5分ほど歩いて、その店に行くと、カウンターで

グラスを磨いている若い男が会釈をした。

「あたしの主人です。今日は、バタフライを教えていただいた

お礼に好きなものを飲んでください。」

彼女は、そう言って微笑んだ。

彼は、自分の笑顔が苦笑にならないように、

気を使わなければならなかった。



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