フロイトの夢理論 その87
テキストはフロイトの『夢判断・上』(平成23年四版・日本教文社刊)です。引用も特に断り書きのないかぎり、本書からです。
☆夢から幼年時代のある時期に身内の者が死ねばいいと願ったことがあると推論できる。
「大切な身内の人が死んで、その際悲痛な感情を感じる夢は、上記のものとは全然ちがう。こういう夢は、その夢内容が証明しているもの、すなわちその身内の人が死んでくれたらいいという願望を意味している。」(296頁)
「ある人が父母や兄弟姉妹が死んだ夢を見て悲嘆にかきくれたような場合、私はこの夢をもって、その夢を見た人がその身内の者の死ぬのを現在願っている証拠だなどと言うつもりは全然ない。夢理論にはそれほどの権限はない。夢理論は、その人が――幼年時代のある時期にその身内の者が死ねばいいと願ったことがあると推論するだけで満足するのである。」(297頁)
☆Comment
ぼくが小学校低学年のころだったとおもいますが、父が死んだ夢をみました。そこは手術室でベッドの上に白い布がかぶせてありました。そこに横たわっているのは、顔はみえませんが、父で、すでに死んでいることがわかっていました。長兄が白衣をきて医師の格好で、注射器の先から液体がこぼれるのを確かめています。長兄とぼくとで父を殺してしまったのです。
目が覚めて、ぼくは恐怖に震えました。そして次兄といっしょに寝ている布団からぬけだして、隣室に寝ている父の布団にはいりこんで、そこで眠ったのを覚えています。
父が死んだらいいと願ったことなどないように思いますが、父にきびしく叱りつけられたときに恨んだことはあるようにおもいます。しかし、父のことは慕っていました。
夢では、兄弟で共同して行いましたが、そんなことを現実的に二人で考えたことはありません。けれども、とても鮮明に覚えている夢なのです。
(この項つづく)
源氏物語の登場人物の性格》その228
(国民の文学3源氏物語上 与謝野晶子訳 河出書房新社 昭和39年刊より引用)
☆『源氏物語』の性格描写
○藤壺の出家の決意をきいて源氏が詠んだ歌
「月のすむ雲井をかけてしたふとも
このよの闇になほや惑わん」(榊・201頁)
☆辞書・事典から
雲井=雲のかかっているはるかかなた。高くまたは遠く隔たっている所。
すむ=空や液体に曇りや濁りがなくなって,透き通ってみえる。
闇=暗い状態。光のささない状態。また,その所。
訳=大空に透き通って見える月のように澄んだあなたのおこころを慕うとしても、私はあなたとの子のことで、この世の闇になおも迷っているのです。
☆Comment
藤壺の出家の意志をきいて、みな、歎きます。源氏はそのこころもちを理解しつつも、藤壺とじぶんとの子である東宮のことが心配で、ともに出家することはできないと、歌で藤壺に告げたのです。
そして源氏は東宮の後ろ盾となってゆくのです。
(この項つづく)
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