江戸幕府は、
武家諸法度によって
諸藩(武士)を締め付けた。
主な条例
一、武芸、学問奨励
文武弓馬ノ道、専ラ相嗜ムベキ事。
一、参勤交代
大名・小名在江戸交替相定ムル所ナリ。毎歳夏四月中、
参勤致スベシ。従者ノ員数近来甚ダ多
シ、且ハ国郡ノ費、且ハ人民ノ労ナリ。向後ソノ相応ヲ
以テコレヲ減少スベシ。但シ上洛ノ節ハ、教
令ニ任セ、公役ハ分限ニ随フベキ事。
- 訳:大名や小名は自分の領地と江戸との交代勤務を
- 定める。毎年4月に参勤すること。供の数が最近非常
- に多く、領地や領民の負担である。今後はふさわしい
- 人数に減らすこと。ただし上洛の際は定めの通り、
- 役目は身分にふさわしいものにすること。
- 一、築城禁止
- 新規ノ城郭構営ハ堅クコレヲ禁止ス。居城ノ隍塁・石壁
- 以下敗壊ノ時ハ、奉行所二達シ、其ノ旨ヲ受クベキナリ。
- 」櫓・塀・門等ノ分ハ、先規ノゴトク修補スベキ事。
- 訳:新たに築城することは厳禁する。居城の堀、
- 土塁、石塁などが壊れたときは、奉行所に申し
- 出て指示を受けること。櫓、塀、門などは元通り
- に修理すること。
一、婚姻届出制
- 国主・城主・一万石以上ナラビニ近習・物頭ハ、私ニ婚姻
- ヲ結ブベカラザル事。
- 訳:藩主、城主、所領1万石以上、近習(将軍の
- 側近の武士)、物頭(常備兵の隊長)は、幕府の
- 許可無く勝手に結婚してはならない。
- 衣装等級厳守
- 一、衣装ノ品混乱スベカラズ。白綾ハ公卿以上、白小袖
- ハ諸大夫以上コレヲ聴ス。紫袷・紫裡・練・無紋ノ小袖ハ
- 猥リニコレヲ着ルベカラズ。諸家中ニ至リ郎従・諸卒ノ
- 綾羅錦繍ノ飾服ハ古法ニ非ズ、制禁セシムル事。
- 訳:衣装の等級を乱れさせてはならない。白綾
- は公卿(=三位)以上、白小袖は大夫(=五位)
- 以上に許す。紫袷・紫裡・練・無紋の小袖は、み
- だりに着てはならない。家中の下級武士が綾羅
- 」や錦の刺繍をした服を着るのは古くからの定め
- には無いので、禁止とする。
- 一、 輿制限
- 乗輿ハ、一門ノ歴々・国主・城主・一万石以上ナラビニ国
- 大名ノ息、城主オヨビ侍従以上ノ嫡子、或ハ五十歳以上、
- 或ハ医・陰ノ両道、病人コレヲ免ジ、ソノ外濫吹ヲ禁ズ。但
- シ免許ノ輩ハ各別ナリ。諸家中ニ至リテハ、ソノ国ニ於テ
- ソノ人ヲ撰ビコレヲ載スベシ。公家・門跡・諸出世ノ衆ハ制
- 外ノ事。
- 訳:輿に乗る者は、徳川一門、藩主、城主、所領
- 1万石以上、国持ち大名の息子、城主、侍従以上
- の嫡子、50歳以上の者、医者、陰陽道の者、病人
- 等許可されている者に限り、その他の者は乗せて
- はならない。ただし許しを得た者は別とする。諸家
- 中においては、その国内で基準を定めること。公家・
- 僧侶・その他身分の高い者は、その定めの例外とする。