北海道・イワシ大量死
の謎 ― 400年に一度
超巨大地震の前触れか?
先月3日早朝、北海道勇払郡むかわ町の海岸で、
大量のイワシが打ち上げられた。そしてこの日、11
時28分に北海道・胆振(いぶり)地方でM4.6の地震
があり、むかわ町などでは震度4を記録している。
震源は苫小牧東方の海辺で、むかわ町に非常に
近い位置だった。筆者は、地震前兆現象を長年調
査してきた経験上、むかわ町でのイワシの打ち上
げは、その日に起きた地震のサインだったのでは
ないかと感じていた。
ところがその後、11月5日から6日にかけて、むか
わ町から80キロほど東方の浦河町の港で、またも
イワシが大量に打ち上げられる。さらに驚くべきこと
に、同様の現象が浦河町とむかわ町の間に位置す
る日高町や新ひだか町でも発生したのだ。今回は、
イワシの大量打ち上げが続発するこの状況が、巨大
地震の前触れである可能性について検討すること
にしたい。
■関係者は困惑
さて、浦河町の池田拓(ひらく)町長は、「長くこの町に
いてこんなことは初めて。何かよからぬことが起きなけ
ればいいんですが...」
(『zakzak』、2014年11月11日、産経新聞社)
と不安げに語る。
浦河町の水産商工観光課では、「3日に接近した低気圧の
影響で海面に冷たい海水が流れ込み、イワシが冷たい海
水を避けようと温かい浅瀬に押し寄せた結果、酸欠状態に
なって死んだのではないか」(『zakzak』、同上)と分析するが、
前代未聞の出来事に困惑を隠せずにいる。
■過去の事例
浦河町は、襟裳岬の北西30キロほどのところに位置しているが
、この周囲で起きる巨大地震といえば「十勝沖地震」だ。1843年
(M8.0)、1952年(M8.2)、2003年(M8.0)と近代以降に3回発生し、
いずれも地元に大きな被害をもたらした。
「明治三陸地震津波」(1896年)と「昭和三陸地震」(1933年)の
前には、関係者が目を疑うほどの豊漁が起き、イワシの大群が
海岸一帯を埋め尽くしたと伝えられる。また、三陸沿岸の漁民
の間では、「イワシでやられてイカで助かる」ということわざがあ
る。津波の直前にイワシの大群が岸に押し寄せ、津波の後で
イカが豊漁になるという経験にもとづくものだ。他にも、かの「関
東大震災」(1923年)の前には、横浜市の川をイワシの大群が
遡上したことがよく知られている.