(2014年7月29日付 英フィナンシャル・タイムズ紙)
世界を飛び回る安倍晋三首相〔AFPBB News〕
もし印刷した1万円札の枚数や迂回した憲法の条文の数では
なく訪問した国の数で評価されることになったら、安倍晋三首
相は大変な成績を収めることになるだろう。何しろ、25日にメキ
シコから始まった中南米諸国歴訪の旅を終えれば、1年半ちょっ
とで47カ国を訪れたことになるのだから。
首相が外国を訪問する時に国会に事実上許可を請わねば
ならない日本の基準はもとより、恐らくどの国の指導者の基準
に照らしてみても、安倍氏は外国を頻繁に訪れていると見な
されるだろう。
ちなみに、安倍首相の2人の前任者は計2年半の在任中に
18カ国しか訪問できなかった。外国訪問に長けている中国の
習近平国家主席でさえ、まだ23カ国にとどまっている。
日本の首相としては10年ぶりとなる中南米歴訪の前に
安倍氏はアジア諸国を何度か訪れている。任期の1年目
には東南アジア諸国連合(ASEAN)加盟10カ国をすべて
回るという離れ業をやってのけた。中国の影響力がじわじ
わと感じられるようになっており、常に歴史が重くのしかか
るアジアでは、日本政府と中国政府がビジネスの機会だけ
でなく人々の心を巡っても暗黙のバトルを繰り広げている。
日本はインドネシアやタイ(両国にとって日本は大口の投
資家である)をはじめとする東南アジアの国々と関係を強化
したり、中国の台頭に神経質になっているほかの国々(インド、
フィリピン、ベトナム、さらには、かつてはしっかり中国陣営に
入っていたミャンマーなど)を味方に付けようとしたりしており、
概して言えば、そうした取り組みは一般に理解されている以上
の成功を収めている。<JB PRES>