壊れないで‥‥、スタン

 

パブリックスクールシリーズの新刊です。

シリーズといっても

ケイト編ともともとの話でもある礼編と

2編あるんだよね。

今回はケイト編です。

礼たちはもうこのスクールを卒業して大人としての

新たな関係を築いていっているけど、

ケイト達はまだ学生なので、

まだ発展途上の恋愛。

だけど逆にパブリックスクールという閉鎖的な空間の中で起ることは

一種独特なものがある。

同じ時代に生きているはずなのに

ちょっと異世界の雰囲気があるよね。。

 

これまでのシリーズレビューはこちら。

  やじるし

パブリックスクール -檻の中の王- 、-群れを出た小鳥-

−八年後の王と小鳥− 」「ーツバメと殉教者ー左矢印これが前回のケイト達の話

−ロンドンの蜜月−

 

樋口 美沙緒著「パブリックスクールーツバメと監督生たちー」

最終学年が始まり、アルバートを寮代表に新体制が発足!!恋人スタンとともに監督生を務める桂人は、寮の運営や大学受験の準備に多忙を極める毎日だ。そんな中、全11寮のトップが一堂に会する寮代表会議が開催!!そこで初顔合わせしたのは、ブルーネル寮の寮代表アーサー―スタンの過去と才能を知る、新進気鋭のヴァイオリニストだった!!彼はスタンに、音楽の道への復帰を迫り…!?

 

スタンとケイト編の続きになります。

前作で落ち着いたと思ったんだけど、

どうやらスタンの心の溝は相当深かったようで。

そりゃあそうだよね。あんなこと、すぐに立ち直れることはない。

スタンの母親は自/殺をしているんだけど、

ちょっと心が病んでいて、

スタンを溺愛、双子の弟アルバートは眼中になくネグレクト、

そして一番の心の瑕は母親とそういう関係にあったということだ。

もちろん、それはスタンが望んだことではない。

母親を救いたい一心からだったけれど、

歪んだ関係は歪んだ感情を生み、

それは心の奥深くに潜んで晴れることはないーー。

この母親の呪縛からなんとか解き放ってあげたいと

彼を心配するケイト。

 

しかも今回はアーサーというニューキャラ登場で、

二人の間にさざ波が立ちはじめ、

これは一波乱起きるぞという予感が。

アーサーとスタンはバイオリンを通じて知り合いのようだけど仲がいいってわけじゃない。

しかもアーサーはスタンに再びバイオリンを演奏してもらいたいためケイトを利用。

バイオリンを再開したスタンから別れ話が持ち出されたりと内容はかなり深かった。

 

頑なに演奏を拒むスタンに対し、

ケイトはこれじゃあいけないんじゃないか、

彼を本当に救うためにはバイオリンが関係しているんじゃないか、

彼のことをもっと深く知るためにも‥

って思っちゃうんだな。

なのでスタンの意向とは裏腹にケイトは別の寮への借し出しに応じるし

スタンへバイオリンを勧めてしまうんだよね。

でもそれはスタンとの別れを意味していたのだ。

スタンがバイオリンをとればお前を別れるなんて言い出すし。

バイオリンを始めるとどうしてケイトと別れなきゃいけないんだ?

という疑問がついて回っていたけれど、

私のような凡庸で単純な人間にはわからない

複雑な気持ちと彼の性格が混ざって

そんなことになってしまうんだよね。

もともとバイオリンに非凡な才能を持っているスタン。

一度集中してしまうと鬼気迫るものがある。

 

こんな男めんどくせー!とか思っちゃう私だけどw

もちろんケイトはそんなことこれっぽっちも思いませんよw

辛くてもスタンに母親とのことを愛していた(もちろん親としてね)自分、

悲しかった自分、亡くなってほっとした自分、

それら全てをひっくるめて受け入れて許してあげようよ、と諭すのだ。

ようは向き合うことは自分を受け入れることでもある。

スタンの辛さはケイトも一緒に背負う覚悟なんだよね。

スタンは出来が良い分、カッコ悪いところや弱みを見せるのが苦手なのだ。

でもそんなことでスタンを放り出すような恋人じゃないし、

アルバートだってそうだよね。

 

かなり分厚い本で、でもその暑さに見合った内容だったと思う。

複雑な彼らの心情はこのくらいないと駄目だよね。

また彼らが大学生になって大人になれば

今以上に成熟した思いを生み出していけるんじゃないかなって思っている。

 

H度ドキドキドキドキドキドキ

ストーリー度満月満月満月満月

 

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